金融政策決定会合後、パネルを使い記者会見する日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁=2016年1月29日午後、東京都中央区日本橋本石町の日本銀行本店(共同)【拡大】
一方、円の金利が下がれば円を売って外貨を買う動きが広がるため、円安が進みやすくなる。一段の円安進行で輸出企業の収益が底上げされれば、賃上げの動きが広がりそうだ。
企業業績の改善は株価の上昇につながる。29日の日経平均株価は前日比476円上昇した。この勢いが続けば個人投資家の収入増につながる可能性がある。
デメリットもある。円安進行は輸入品の価格上昇をもたらすからだ。輸入に頼っている小麦粉や大豆を使った食品の価格が上がる恐れがある。過去の円安局面でもパンや菓子、食用油、マヨネーズといった身近な食品が値上がりして家計を直撃した。
またマイナス金利の導入で預金金利がさらに下がることも考えられる。年金生活者らには逆風だ。金利が一段と低くなることで、金融機関が預金者に比較的リスクの高い投資信託などへの勧誘を強める可能性もありそうだ。高利回りをうたったいんちきな投資商品を売り込む詐欺が増える恐れもあり警戒が必要だ。(SANKEI EXPRESS)