東京電力福島第1原発事故の刑事責任をめぐり、検察官役の指定弁護士は29日、勝俣恒久元会長(75)ら旧経営陣3人について、東京第5検察審査会(検審)の起訴議決に基づき、業務上過失致死傷罪で東京地裁に強制起訴した。
強制起訴は2009年5月の制度導入以来、9件目。東日本大震災の巨大津波によって引き起こされた未曽有の原発事故から5年。東京地検が2度にわたり不起訴処分にした3人の刑事責任の有無が公開の法廷で裁かれることになる。
ほかに強制起訴されたのは、武黒一郎(69)と武藤栄(65)の両元副社長。3人は公判で無罪を主張するとみられる。
起訴状によると、3人は高さ10メートル超の大津波が襲来し、原発の電源が失われて原子炉の炉心に損傷を与える事故の発生を予見できたのに、適切な措置を講じる注意義務を怠り、11年3月12~14日、原子炉建屋の水素爆発によって13人にけがを負わせたほか、病院の入院患者を長時間待機の伴う避難を余儀なくさせるなどした結果、計44人を死亡させたとしている。