大好きだった柔道が、震災直後はできなくなった。夜、母が津波に苦しむ夢を度々見た。加えて、中学校は津波で全壊、近くの道場も避難所となり練習ができなかった。津波のことばかりを考え、心が不安定になった。
「悲しんでばかりいても、お母さんは浮かばれないぞ」。父の言葉が胸に響いた。震災の翌月、つてを頼って内陸部に転校し柔道を再開。柔道に打ち込むと、少しずつ心の平穏を取り戻していった。高校は仙台市の強豪校、東北高校に入学、2年のときには全国大会で3位になった。
最近、母と一緒に買い物に行く夢を見る。そのなかで母は笑っていた。「やっとお母さんも天国に行って、成仏できたのかなと思う」
「まずは日本一が目標。天国の3人に柔道で勝つ姿を見せたいんです」。力強く宣言した。