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【佐藤優の地球を斬る】撤退後も露軍の影響力残るシリア (3/3ページ)

2016.3.19 09:30

3月15日、シリアからロシア南部の基地に帰還し、家族と抱き合うロシア空軍パイロット=2016年(タス=共同)

3月15日、シリアからロシア南部の基地に帰還し、家族と抱き合うロシア空軍パイロット=2016年(タス=共同)【拡大】

  • 作家、元外務省主任分析官の佐藤優(まさる)さん=2014年3月20日、東京都新宿区(大里直也撮影)

 分裂国家間で武力紛争

 このような状況で、サウジアラビア、カタール、トルコなどは、イランに対するカウンターバランスとしてISを利用できると考えるようになった。実際に、サウジアラビアとカタールは、ISに資金援助を行っていると複数のインテリジェンス機関が見ている。このような状況で、ロシアが本気でIS掃討作戦を行うと、サウジアラビア、トルコなどと本格的に衝突する危険があるとプーチン大統領は考えた。そこで、米国やEU(欧州連合)が事実上、アサド政権の存在を容認する姿勢を示したので、プーチン大統領は、このタイミングでロシア軍がシリアから撤退し、国際社会においてロシアが平和愛好勢力であるという印象を植えつけることを考えているのだと思う。

 もっともロシアがどれだけアサド政権を支援しても、この政権がシリア共和国の領域全体を実効支配することは不可能だ。シリアは3~5個の小国家に分裂するであろう。同様にイラクも3つの小国家に分裂するであろう。そして、分裂した国家間での武力紛争が起こるであろう。中東では戦争が常態で、稀(まれ)に平和の時期があるという状況が続くのだと思う。(作家、元外務省主任分析官 佐藤優(まさる)/SANKEI EXPRESS

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