新車同然に整備された阪急電車。周囲の景色が映り込むほどきれいな塗装にみほれてしまう=大阪府摂津市の正雀工場【拡大】
側面の窓はフリーストップ式の1枚窓で、古くささは全く感じない。ワックスをかけて何度も磨き上げたような輝きを放つ塗装も、およそ引退車両のそれではない。車体に顔を近づければ、鏡のように写り込むほどだ。ネット上では「ザ・写り込み王」といった呼び名さえあった。
カカオの芳醇(ほうじゅん)な香りが漂うチョコレートのような、あるいは熟成を重ねたワインのような、高級感のある独特な色合いは「阪急マルーン」と呼ばれている。くりの「マロン」が語源で、和訳すればくり色。人によってこげ茶色、あずき色と表現はさまざまだが、溶かしたチョコを流しかけて光沢を出した「グラサージュショコラ」という上品なケーキ。あえて言えば、それに近いように記者は感じている。
きれいなのは外観だけではない。2300系の車内は高級木材の「マホガニー」の模様をあしらい、これまた光沢のある内装だ。
「ゴールデンオリーブ」と呼ばれる緑色の座席や「鎧戸(よろいど)」と呼ばれる日よけのブラインドも高級感があり、半世紀以上前の車両なのかと目を疑うほどだ。