「人口の規模は、国の科学研究の水準には関係ない」と李氏はいう。「米国ではインドや中国から来た研究者が活躍しているが、彼らの多くは自国に戻ろうとはしていない」。米国には多様な大学が存在することに加え、自由な研究を保証する風土や産学連携の進展など、研究環境ではその優位性は圧倒的だ。そういう環境をつくるのは一朝一夕にできることではない。
一方で、インターネットを介して他国の研究者と容易に連携できる現在、必ずしも小国が不利ともいえない。「イスラエルは国が小さく人口も少ないが、科学の世界では存在感が大きい。それは彼らが国外とつながって研究することに長(た)けているから」
国際科学会議のトップとして、常に意識しているのは、温暖化問題などグローバルな課題への取り組みだ。とくにアジアには、いや応なく国境を越えて対応しないといけない課題がある。中国とインドの大気汚染だ。実はニューデリーの空気の悪さは北京並みだという。