ぼくは赤毛の人たちが、こういうプロジェクトをどう受け止めているのかを知りたかった。そもそも赤毛がヨーロッパの社会のなかでどういう存在であったのか、ぼくはまったく知識をもっていなかったのだ。赤毛の子供が生まれると親がどれだけ精神的負担を強いられるかというのは、この日初めて知った。
「これまで少数派としていろいろなつらさに耐えてきた人が多いので、赤毛がクローズアップされることを非常に喜んでくれました」とロッソさんは明るい声で答える。子供の頃から赤毛を理由に仲間外れの目にあってきた男性からは感謝され、赤毛の小さな娘をもつ母親は「あなた一人じゃないのよ」と勇気づけるきっかけになったという。
ダイバーシティが大きな声で叫ばれる。しかし、この『美しい遺伝子』でみるように、そのダイバーシティから皆が連想するマイノリティにも入らないグループが世界には沢山ある。ダイバーシティへの理解と行動は、今までに気づかなかった一つ一つの少数グループにリアリティを感じたときがスタートだ。
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ローカリゼーションマップとは? 異文化市場を短期間で理解するためのアプローチ。ビジネス企画を前進させるための異文化の分かり方だが、異文化の対象は海外市場に限らず国内市場も含まれる。
安西洋之(あんざい ひろゆき) 上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。現在、ローカリゼーションマップのビジネス化を図っている。著書に『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』 共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのサイト(β版)とフェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih