「マルコに日本の食を案内してもらってよく分かったのは、和食を理解するには同じイタリア人に説明してもらうのが、ベストだってことだね」
こう話すのは、この4月に行われたイタリア人によるイタリア人のための日本グルメツアーの参加者の感想だ。東京から京都まで10人程度で評判の良い店に出かける。そこでガイドをするのが、冒頭のマルコ・マッサロット氏だ。
参加者のコメントは言葉のことだけを言っているのではない。今、目の前にある料理がイタリアのどのような料理と対応しているのか。日本食の味を普通のイタリア人ならどう感じるかを踏まえ、マッサロット氏が説明してくれるから参加者はよく理解できるのだ。何よりも安心感がある。
新しい味を美味しいと思うのは、何回か同じモノを食べ慣れるか、頭で理解するか。このどちらかのケースが多い。グルメツアーで食べ慣れるわけにはいかないから、タイミングよくツボを押さえた言葉が必要だ。
マッサロット氏は日本に住んでいるわけではないし、旅行の添乗員でもない。しかし、イタリアに住んでいるイタリア人がグルメの一人として説明するからこそ的確な説明が可能だ。
本職はイタリアでトップのソーシャルメディア・マーケティング会社の経営者だ。このツアーガイドは趣味である。日本酒や和食をできるだけ多くのイタリア人に誤解なく知ってもらいたいという願いから、NPOを主宰している。名前はLa Via del Sake。 酒道だ。
彼は毎月ミラノで日本酒の試飲会を開催すると共に、年2回、こうしたツアーを企画している。