マッサロット氏自身、数年前まで日本酒を美味いと思ったことはなかった。
「日本酒は熱くして飲む強い酒」と思っているイタリア人は多い。中華料理店で食後に飲んだ経験からか、苦手意識すらもっている。マッサロット氏もまったく同じだった。
ミラノの日本料理店で鮨や刺身を食べていたが、最初はやはり距離を感じた。それがビジネスで日本に出かけるようになり、日本酒は食中に飲むワインだと知る。日本酒と和食に対するイメージがガラリと変わったのである。そして和食の背景にある歴史や文化的な豊かさを知識として得ることで、彼の向学心に火がついたというわけである。
NPO設立のきっかけは、ここにあった。
初めて日本を旅するイタリア人たちの反応の典型は、「こんなにすごいとは想像もしていなかった」というポジティブな驚きだ。日本人のホスピタリティを茶の席や酒の作り手との会話を通じて知る。懐石料理を食べながら京都の歴史を知る。
こうして日本は身近なものになり、想像していたような閉鎖的な世界ではないと分かるのだ。
冒頭の感想を語った人間は、世界各地を飛び歩く大企業の経営者だが日本はビジネスに無縁だった。日本には以下のようなイメージをもっていた。
「日本には映画『硫黄島』にあるようなエキセントリックなイメージがあったね。安倍首相の中国や韓国への態度を見ていても、人の話を聞かないという感じがあるよ」