拉致被害者と特定失踪者のパネルを手に署名を呼びかける家族ら=2日午後、埼玉県川口市(中村昌史撮影)【拡大】
北朝鮮による拉致被害者らの再調査が始まってからまもなく1カ月を迎える。調査対象は「全ての日本人」だが、その中には拉致された疑いが濃厚ながら、さまざまな事情で政府に拉致被害者として認定されていない行方不明者もいる。不明者の家族たちは認定被害者の家族らと同様、今回の再調査での事態進展を祈っている。
「父に何があったのか。真実が知りたい。今回がその最後のチャンスだ」
昭和38年5月11日、石川県志賀町から出漁し、消息を絶った寺越昭二さん=失踪当時(36)=の三男、内田美津夫さん(61)はそう話す。
漁船には昭二さんの弟の外雄さん=同(24)=と、おいの武志さん(64)も同乗し、行方不明となった。62年1月22日に外雄さんから手紙が届き、武志さんと北朝鮮で生存していることが分かった。昭二さんは北朝鮮に渡って5年後に亡くなったとされた。
その後、北朝鮮の元工作員が「漁船を襲い、2人を拉致し、1人を殺害したと聞いた」と証言したことから、昭二さんが船上で殺害された疑いも浮上した。しかし、平成6年に外雄さんが死去し、唯一生存している武志さんは「遭難したところを(北朝鮮に)救助された」と拉致を否定した。