7月の全国の消費者物価指数(生鮮食品を除く)が前年同月比で連続プラスが25カ月で止まり横ばいになったことで、市場関係者の間で日銀の追加緩和についての見方が交錯している。
ある大手証券エコノミストは「追加緩和期待が後退した」と話す。消費者物価指数が、家電製品などの値上がりで市場の事前予想(マイナス0.2%)よりも上振れたことが要因だ。また、農林中金総合研究所によると、日銀が物価の基調の判断材料として重視するエネルギー、生鮮食品を除いた物価指数が1.0%に達したもようで、前月から上げ幅を広げた。
日銀の黒田東彦総裁が26日のニューヨーク講演で、世界経済の減速懸念が広がる中で、「日本経済は完全雇用状態」などと強気の発言を繰り返したことも根拠となっている。
一方、日銀が平成28年度前半ごろの達成を見込む「物価上昇率目標2%」について、市場関係者に「実現は難しい」と指摘する声は根強い。個人消費が依然として弱いためで、明治安田生命保険の謝名憲一郎エコノミストは「1月以降も物価上昇ペースが上がらなければ、追加緩和に踏み切らざるを得ない」と指摘する。