5月29日、日EU首脳会談を前にEUのトゥスク大統領(左)、ユンケル欧州委員長(右)と握手する安倍晋三首相=首相官邸【拡大】
TPPの成果を反映させにくい分野も多い。例えばチーズだ。日本はTPPで、チェダーやゴーダの段階的な関税撤廃などを受け入れる一方、カマンベールなどは現行関税をどうにか維持した。
ただ、EU側が着目するのは、もっぱらカマンベールなどである。日本にすれば、TPPで苦心して重要農産品の関税協議をまとめたのに、日欧交渉では、もう一段の自由化が迫られる形である。
関税ゼロを基本とする高水準の自由化と域内共通のルールを定めたTPPが、国際標準にふさわしい枠組みなのは論をまたない。ただ、成熟経済である日欧間には、TPPとは異なる多くの関心事や論点がある。それを見極めて国益を最大化する交渉戦略を構築しなければならない。
一方、日中韓やインド、東南アジアなどを含む東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉も、TPP合意の影響を大きく受けるはずだ。