臨時閣議に臨む安倍首相。左は甘利経済再生相=24日午前、首相官邸【拡大】
平成28年度予算案は安倍晋三首相の意向が色濃くにじむ内容となった。安倍政権が掲げる「1億総活躍社会」の実現に向けた施策や防衛を重視する姿勢を鮮明にしたためだ。半面、診療報酬の改定では医師らの技術料の部分を引き上げるなど、来年夏の参院選を控えて支持基盤に配慮した側面もあり、めりはりを付けられなかった感が否めない。
今回の予算案では、1億総活躍に向けた新3本の矢の目標である「希望出生率1.8」や「介護離職ゼロ」を達成するための施策がずらりと並んだ。幼児教育の無償化や保育の受け皿拡大、仕事と介護の両立支援などは、その象徴だ。日本が抱える構造問題である人口減少に対処する決意を示した。また、防衛費を初めて5兆円台に乗せたのも、国際社会での影響力を強めたい安倍政権の思惑を反映させた格好といえる。
一方で、社会保障、防衛費などを除く歳出項目はいずれもほぼ横ばいで、歳出改革が二の次になった印象は拭えないのも事実だ。27年度補正予算案でも、低所得の高齢者へ一律3万円の給付が盛り込まれるなど、参院選を意識したバラマキが目立った。
28年度の税収は名目成長率3.1%という楽観的な見通しを前提にしており、中国など海外経済の先行き不安を慎重に見積もったとは言い難い。
政権が目指す経済成長と財政再建の両立に向けては、一段の歳出改革に踏み込む覚悟が求められている。(今井裕治)