亀井さんが、店オリジナルの梅酒に口をつける。「岡半」を命名した吉川英治ゆかりの「紅梅苑」(東京都青梅市)から取り寄せている。
「安倍首相は、さらにテロの脅威を増す政策を取った。安全保障法制ですよ」
安全保障関連法は、集団的自衛権行使を限定的に可能とし、日本の抑止力を高める目的だ。自衛隊が本格参戦するわけではなく、原則として後方支援や米艦防護に限られる。
「支援に『後方』も『前方』もありますか。ただでさえ敵性国家と思われているんですよ。彼らは『日本が俺たちをやっつけに来た』と思うでしょう。だから日本は、テロの脅威がうんと増えたのだ」
安保関連法は、自衛隊が、米軍の軍事行動に全て参加するわけではない。
「あんたね…。これまでは米国が押しつけた憲法によって、日本は米国の戦争に参加せずに済んだ。でも、安倍首相はそのガードを自ら取り払ったでしょ。米国から協力要請が来たとき、日本は『できない』と本当に言えますか。『日本が断るなら、日米安保条約上の義務は履行しないよ』と迫られたらどうするの」 ようやく亀井さんが肉に箸を伸ばす。
「安保関連法はただちに廃止できない。ならば、首相が『法律があっても実際は使わない』という信念を貫くべきだ」