安保法制を1年取材した身としては容認できない議論だ。ただ日本の将来を真剣に心配していることは、亀井さんの表情から伝わってくる。
仲居さんが焼きたての肉を届けてくれた。口に含むと、何とも言えぬ甘さと焼き加減…。砂糖を使わない割り下も絶妙に絡み、肉が口の内で瞬時に溶ける。亀井さんが今度は経済を標的に掲げた。
「名目国内総生産(GDP)を600兆円にするとぶち上げたが、具体的政策はどこにあるの。夢幻の花火を見せて『生活が苦しいかもしれないが、我慢してください。600兆円にしますから』と。政府はそんな当てずっぽうなことをやっちゃいかんのだよ」
「名目GDP600兆円の達成」は、首相が掲げる「1億総活躍社会の実現」の中心政策だ。
「指導者は自分の皮膚感覚で、民の営みの実態を感じなければ駄目だ。安倍首相と電話した際、『株価だけはちゃんとします』と答えたが、私は『今の兜町はばくち場じゃないか』と言い返しました。今のばくち場に集う7割は外国人。ここに年金関係の基金など、国民の血と汗の結晶をばんばんつぎ込んでいます。よく分析すると、ばくち場の利益は、結局、米国のヘッジファンドが持っていく」
うーん。