環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)関連法案の衆院本会議を終え、退席する安倍晋三首相(右)ら=5日午後、国会(斎藤良雄撮影)【拡大】
TPPはカバーする範囲が広く論点は多岐にわたっており、野党は幅広い問題点に焦点を当て、攻勢を強める方針を示す。コメなど重要農産品5分野のうち約3割が関税撤廃されるため、5分野を関税撤廃の例外とするよう求めた国会決議との整合性については特に追及を強める姿勢だ。これに対し与党は「国家貿易制度は維持され、国内の農業対策で生産性は維持される」と主張する。
野党はこのほか、国内対策の効果を前提としたTPPによる経済効果の試算や、海外農産品の輸入拡大による食の安全性確保など多くの疑問点を投げかける構えだ。
与党は「心配ごとを言い出したらきりがない。論点は整理すべきだ」(政府関係者)と野党側にくぎをさす。今後はTPP大筋合意後の精力的な国民への説明会の実施や合意内容の情報開示、補正予算による国内対策などの成果を強調し、理解を求める考えだ。
TPP発効は、署名後2年以内に参加全12カ国が国内承認を終えれば、その60日後に発効する。2年後以降でも、域内国内総生産(GDP)の85%を占める6カ国以上の承認で発効できるが、日本と米国のどちらが欠けても、この条件は満たさない仕組みとなっている。