国会内で会談に臨む自民党の佐藤国対委員長(中央右)と民進党の安住国対委員長(同左)ら=13日午後【拡大】
「参院の審議もあるので4月中に衆院で採決していただきたい」。自民党の佐藤勉国対委員長は13日、民進党の安住淳国対委員長との会談で、TPP承認案と関連法案の今国会での成立に理解を求めた。安住氏は「強引な進め方はせず、与野党協議の上で日程を進めてほしい」と応じ、佐藤氏は丁寧な審議を約束した。
TPP法案の審議再開で合意したとはいえ、与党にとって実質4日間審議が遅れた代償は大きい。今月22日を目指していた衆院通過は25日以降にずれ込み、審議日程にもう余裕はない。
夏の参院選に備え、政府・与党は万全を期して今国会に臨んだはずだった。異例の早さの1月4日に国会を召集。3月末に平成28年度予算を成立させ、今月5日にはTPP法案を審議入りさせた。しかし、次々と想定外の“災難”が降りかかり苦境に追い込まれた。
7日の特別委で、民進党がTPP交渉の内幕を描いた西川公也委員長(自民党)の著書の原稿を入手したと暴露。外交機密のため黒塗りにされた交渉資料を委員会に提示した政府の対応との矛盾を厳しく追及し、審議がストップした。
8日には、甘利明前経済再生担当相の金銭授受疑惑をめぐり、東京地検特捜部が関係先の強制捜査に着手。民進党は甘利氏の参考人招致を求めるなど追及を強めたのだ。
さらに、12日に告示され、与野党対決型となった衆院北海道5区補選は野党統一候補の猛追で苦戦。北海道はTPPへの反発が根強く、強引に審議を進めれば批判は免れず、野党を利することになりかねない。
「無理に採決まで進めば強行だと批判される。でも秋以降に先送りしたら逃げたといわれる」。自民党の閣僚経験者はこう語るが、参院選を意識した慎重姿勢が自民党にとって命取りになりかねない。
(田中一世)