中米パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出した膨大な顧客データが世界を揺さぶっている。従業員500人足らずながら世界40カ国に拠点を持ち、世界の大手金融機関と提携するモサック・フォンセカは、世界の要人や富裕層、企業など約30万もの顧客に租税回避のサービスを提供している。
厳格な守秘義務を負う法律事務所の顧客データが流出すること自体前代未聞だが、俗に「パナマ文書」と呼ばれる同データには、イギリスのキャメロン首相やロシアのプーチン大統領の友人、中国の習近平国家主席の義理の兄など、現役の首相や首脳経験者ら12人の関与が明らかになっている。舞台がオフショアと呼ばれる非居住者が匿名で法人を設立することができる特別な地域であることに加え、モサック・フォンセカがタックスヘイブン(租税回避地)に強い「世界の五指に入るペーパーカンパニーの卸売問屋」(外資系金融機関幹部)であることから、これら要人や富裕層は自国の高い税金を逃れるためにタックスヘイブンにペーパーカンパニーを設けて、租税回避を図っていたとの疑念が持たれている。
このパナマ文書が明るみになった時に、まず筆者の脳裏をよぎったのは、かつて日本企業に損失隠しという名の“粉飾”を手助けした外資系金融機関の行為だった。時計の針は1990年代後半まで巻き戻さなければならない。