5月下旬の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の舞台となる三重県は、近畿や東海以外の人にとってはなじみの薄い県だろう。だが、伊勢神宮、松阪牛、鈴鹿サーキット…と全国区のブランドは数多い。「三井」や「イオン」のルーツも三重だ。地元は“世紀のイベント”を機に、より多くの観光客を呼び込もうと盛り上がっている。ただ求心力のある大きな都市がなく、情報の発信力に乏しい。県試算の経済効果は1千億円にのぼるが、伊勢志摩地域に集中するものとみられ、県全域に波及するかは疑わしい。サミットまで1カ月。三重県を「裏読み」してみる。
「三重=伊勢志摩」じゃないんだけど…
米CNNテレビが3月に三重県をPRする映像をCM枠で放送したが、伊勢エビなどの食のほか、サミット会場周辺の英虞(あご)湾、伊勢神宮といった観光スポットをメーンに取り上げた。こうした映像を外国人が見たら、「三重=伊勢志摩」と誤解しかねない。そもそも国内でも、近畿や東海地方以外の人もおおむねそんな認識だろう。
サミット開催地が決まった直後の昨年6月、三重県はその成功に向け「伊勢志摩サミット三重県民会議」を設立した。県民と関係機関・団体、市町や県が一丸となって、県全体の総力を結集させることが目的という。