その後、首相は「リーマン・ショックのような重大事態が発生」など他にもさまざまな理屈をつけ、逃げ道を作り出した。先の発言はどんな規模の不況が生じても、予定通り税率を10%に引き上げると、まさに政治生命を賭けた公約ではないのか。首相は「公約違反との批判を真摯(しんし)に受け止める」とわびているが、口先だけの反省のようである。これで終わりでは、政治家の発言があまりに軽すぎそして首相の公約などいつでも破れるということになろう。これまでの経緯を振り返ると、国民に約束した三党合意を踏みにじり、また自分の政治公約も破るのだから単に口先だけでなく具体的に職を辞すぐらいの責任を自覚してほしいものだ。
第2に、日本経済の現状が消費税率2%の引き上げに耐えられないとは思えない。雇用、企業業績もそれなりの結果を示している。物価水準を2%まで高めるという当初の目標がまだ達成されていないことを盾にデフレを脱却し経済を再生させる必要性を強調している。しかし首相も日本経済の停滞をあまり口にするとアベノミクス批判につながるためサミットでは財政出動にあたり世界経済の危機回避を理由に挙げ、増税先送りの布石を打っている。しかしどう見ても説得性に欠けているといわねばならない。増税先送りに対し、海外も厳しい眼を向けている。
2年半後に日本経済が大幅に回復し首相が期待するように増税環境が新たに出来上がるとも思えない。潜在成長率が0%前半に落ち込んでいる現在、数年後もほぼ同じような成長水準の達成がやっとであろう。とすると何のための増税先送りかわからなくなる。