
「和解・癒やし財団」の設立に反対し、記者会見場に乱入、警察官に連行される市民団体メンバー=28日、ソウル(共同)【拡大】
【ソウル=名村隆寛】慰安婦問題での日韓合意に基づき、韓国政府が主導する元慰安婦の女性らの支援財団が28日、発足し、日韓外交の停滞を招いた問題が合意に従い「最終的かつ不可逆的な解決」に向けて一段階進んだかたちだ。しかし、韓国では合意や財団設立への反発は根強く、韓国政府は“国内問題”への対処に追われている。
財団には、日本政府から10億円が拠出される。だが、日本側の再三の要求に反し、ソウルの日本大使館前の慰安婦像は撤去されず、違法に設置された状況が続いている。
韓国政府は、日韓合意で慰安婦像の問題を「可能な対応方向について関連団体との協議などを通して、適切に解決するよう努力する」と確約した。にもかかわらず、財団発足前日の27日には、慰安婦像を囲み、毎週恒例の反日抗議集会が開かれた。しかも、約1千人の参加者の大半は夏休み中の中高生らだった。像をめぐる状況に、変化は全くうかがえない。
韓国外務省報道官は28日の定例会見で、慰安婦像の撤去について「昨年12月の(日韓)合意時の立場に変わりはない」と述べ、韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相が当時、語った合意内容を繰り返した。像撤去に向け韓国政府なりに努力をする構えだ。