孫社長 「3年前の株主総会で『30年ビジョン』を発表したが、そのときに『あと30年以内に時価総額で世界10位に入る』と。あのときは217位でしたが、今は113位です。株主の皆様、社員、パートナーのおかげです」
《ここで、冒頭に予告があった「新たな大ボラ」の文字がスクリーンに浮かぶ。会場は何事か、と息をのむ》
孫社長 「さて、ここで新たな大ボラを吹きます。私たちは世界一の会社になる。これまで控え目にトップテンといっていましたが、それはどうも私の性格に合わないようで(笑)。世界一、というのは期限はまだ切っておりませんが、必ずなります。利益の面でも、キャッシュフローでも、時価総額でも。あらゆる面で世界一の会社になります。必ずなります」
「でも世界一というのは目標ではなく、行動計画です。最も大切なのは世界一になった後に、人類に何を残せるか、ということです。ITによるライフスタイルの革新、人々に感謝され、人々に尊敬されて初めて、われわれの存在に意義が生まれる。単に世界一の企業を作るのではなく、数字を追い求めるのではなく、『情報革命で人々を幸せにする』。これこそがわが社の思いであります」
《数分間のイメージビデオを上映して、孫社長がプレゼンを終える。大きな拍手がわく。再び、会場の株主との質疑応答に戻る》
株主の質問 「スプリントに入れる資金は当初80億ドルとしていたが、50億ドルに変更した。減らした理由は」
孫社長 「2点あります。スプリントの既存株主に対し、減らした30億ドルを支払う。それをしないと、ディッシュとの提案競争の中で不利になりそうだった。もう一つは、年間2000億ぐらいの経費削減が今後4年間見込める。これは買収を発表したときには見えなかったが、今、見えてきた。経費が削減できるから、スプリントはより早く立ち上がれる。そうすると、スプリントに入れる額が減っても十分いけるのではないか、と考えた」
株主の質問 「中国でIPO(新規株式公開)が解禁されたと言うが、グループ会社のアリババグループのIPOは考えているか」
孫社長 「アリババはまだ未上場だから、詳しくは言えないが、好業績、急成長です。さまざまな期待が寄せられているが、どう期待に応えるかは、詳細に検討するが、現時点では規模とか時期はコメントできません」
株主の質問 「孫社長は55歳とまだお若い。今日の話は少し抑制気味だったような気がするが、健康は大丈夫か。創業社長が消えたとたんに消える会社もある」
《会場から笑い声があがる》
孫社長 「大丈夫です。先日も人間ドックに行って、脳から内臓から全部みましたが、大丈夫です。もう少し脂肪を落とせ、と言われましたが。不満はゴルフに行く回数が減って、スコアが落ちていることです。でもまだシングルを保っておりますが。健康は大丈夫ですのでご心配なく」
「一方、私が100年生きるわけではないので、2代目、3代目の候補となる若いリーダーを今育成しているところです。なかなか難しいですが、取り組まないわけにいかないので、後継者育成システムは作っておきたいですね」
株主の質問 「もしスプリント買収ができなかったら、他の米国通信会社を買収するのか」
孫社長 「常に私はいくつかの策を同時並行で考えています。スプリント買収に失敗したときに備え、第4位のT-モバイルの買収も真剣に考えておりました。ただ、今はスプリント、クリアワイヤーの買収の形勢がよくなっているので、まずはここに集中します」