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武田薬品が欧米に対抗、初の外国人トップ起用 グラクソのウェバー氏

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武田薬品が欧米に対抗、初の外国人トップ起用 グラクソのウェバー氏

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 国内製薬最大手の武田薬品工業は、同社初の外国人トップを起用し、グローバル戦略を加速させる。来年6月から長谷川閑史(やすちか)社長(67)の後任となる、英製薬大手のグラクソ・スミスクライン(GSK)グループのクリストフ・ウェバー氏(47)の陣頭指揮のもと、欧米大手に大きく見劣りする収益を高め、世界市場での勝ち残りを目指す。

 長谷川社長は11月30日、社長交代を発表した記者会見で「組織に新しいリーダーを入れる時期だった」と強調。ウェバー氏については「7カ国で働いた経験と人をひきつけるパーソナリティーは、武田の今後をリードしていくのにふさわしい人物だ」と期待を寄せた。

 長谷川社長は6月に会長兼最高経営責任者(CEO)に就くが、1年以内をめどにウェバー氏にCEO職も譲ることを明らかにした。

 新薬開発競争が激化し、先進国の市場が伸び悩む中、武田はここ数年、新たな市場の獲得に向けM&A(企業の合併・買収)を積極的に展開してきた。2011年にスイスの製薬大手ナイコメッドを約1兆1000億円で買収するなど、新興国の攻略も進めている。

 現在、海外売上高比率は5割を超えて、重要案件を決める重役9人のうち5人に外国人を登用。約3万人の世界の従業員のうち3分の2が外国人だ。

 こうしたことから、今回のトップ人事は、就任11年を迎える長谷川社長が断行した、グローバル戦略強化に向けた人事体制の総仕上げを意味する。

 日産自動車やソニーのように国内大手企業が外国人をトップに据える例は珍しくない。

 しかし、武田のように提携先やグループ会社以外から外国人トップを登用するのは異例だ。

 「国籍や人種、性別や年齢で意思決定を束縛される時代ではない」と言い切る長谷川社長。社内の人材育成が追いつかなかった事情もうかがえるが、武田の思い切った人事改革は、グローバル戦略を加速する国内企業に大きなインパクトを与えそうだ。(西村利也)

【プロフィル】クリストフ・ウェバー氏

 1992年リヨン第1大学薬学・薬物動態学博士課程修了。2003年グラクソ・スミスクライン(GSK)フランス会長兼CEOなどを経て11年1月からGSKワクチン社長。フランス出身。

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