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沖縄でアジア観光客争奪戦 LCC、外資系ホテルが展開加速

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沖縄でアジア観光客争奪戦 LCC、外資系ホテルが展開加速

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沖縄への観光客数  円安などを追い風に観光客数が増加している沖縄で、格安航空会社(LCC)と外資系ホテルが事業展開を加速させている。関西空港を拠点とするANAホールディングス(HD)グループのLCC、ピーチ・アビエーションは那覇空港を第2の拠点とし、東南アジアへの路線開設を目指す。2016年ごろにかけ外資系ホテルの新規開業も相次ぐ見通しで、観光客争奪戦は激化しそうだ。

 全日本空輸の貨物建屋の一部を改装して12年10月から使われている那覇空港のLCC専用ターミナルに今月10日、国際線施設がオープンした。従来は国内線のみで運用されていた。今回の投資額は約3億5000万円。建物の中に入ると、照明は決して多くなく、やや薄暗い。天井の波板屋根やダクトもむき出しのままという簡素な作りだ。

 那覇を第2拠点化

 LCC専用ターミナルは、全日空の親会社、ANAHDが所有者から運営を受託。国際線施設のでき映えについて、同社の芝田浩二執行役員は「飛行機に搭乗するまでの距離を短くしたほか、利用客の動線も工夫した。海外の老舗のLCC専用ターミナルと比べても遜色ない」と胸を張る。

 LCC専用ターミナルの利用客数は昨年、国内線のみで約40万人。ANAHDでは16年度に国際線と国内線の合計で200万人の利用を目指している。

 ピーチは昨年9月から那覇-台北(台湾)線を1日1往復で運航。従来はこの路線の搭乗手続きを国際線ターミナルで行っていたが、国際線施設のオープンを機にLCC専用ターミナルに変えた。那覇と関空などを結ぶ自社の国内線との乗り継ぎが便利になると見込んでおり、井上慎一最高経営責任者(CEO)は「LCCにとって1つのターミナルで国内線と国際線を運営することは、コストを下げてさらに手頃な運賃を出す上で重要な意味を持つ」と語る。

 ピーチは就航地を片道4時間程度としており、関空からでは東南アジアの都市に届かない。このため、那覇を第2の拠点とすることで「市場獲得地域を広げる」(井上CEO)狙いだ。台北線以外の那覇発着の国際線はベトナムやタイなどが候補に挙がりそうだが、平均搭乗率が70~75%を確保できることなどを前提に検討する。

 沖縄県を訪れる観光客数は増加傾向にある。昨年は円安に伴い外国人観光客が増えたことなどを背景に、前年比9.9%増の641万3700人と5年ぶりに過去最高を更新した。外国人観光客は昨年、46.2%増の55万800人と2年連続で過去最高を更新し、08~11年の20万人台から一挙に倍増。那覇空港の週当たりの国際旅客便数が10年ごろまでの水準に比べ2~3倍に急増したことも寄与した。

 ただ、9割超は国内からの観光客が占めており、中長期的には地理的に近く経済成長の著しいアジア諸国からの呼び込みがカギを握る。

 沖縄県は観光客数を21年度に1000万人に増やす壮大な目標を掲げているが、今後はハード面での整備が観光客数増加を後押ししそうだ。那覇空港ではLCC専用ターミナルの国際線施設に続き、今月17日には延べ床面積が従来の3.6倍となった新しい国際線旅客ターミナルビルが開業した。さらに、先月着工した那覇空港の第2滑走路も20年3月末の供用開始を予定している。

 新規開業ラッシュ

 一方、観光客数増加に伴う宿泊需要拡大を当て込み、今後数年間は外資系ホテルの新規開業も相次ぐ。

 12年に名護市で「ザ・リッツ・カールトン沖縄」が登場したのに続き、米ヒルトン・ワールドワイドが今年7月に北谷(ちゃたん)町で「ヒルトン沖縄北谷リゾート」、16年には金武(きん)町で「ヒルトン沖縄金武」を開業。さらに16年以降には、恩納(おんな)村で「フォーシーズンズリゾート沖縄(仮称)」がオープンする。

 ザ・リッツ・カールトン沖縄は眼下に名護湾を望み、那覇市にある世界遺産の首里城をモチーフにした建物が特徴。

 今後は他の外資系ホテルとの顧客奪い合いが激化しそうだが、樺澤俊哉PRマネージャーは「周りをゴルフ場に囲まれ、評価の高いスパもある。通年でご利用いただくのにふさわしいホテルとして、他のホテルとの差別化を図っていく」と自信をみせる。

 このホテルでは、宿泊客に占める外国人の比率は開業初年に6%だったが、昨年は15%に上昇。那覇空港への直行便がある香港や台湾、韓国、中国からがその大半を占めており、今後は欧米からの集客にも注力する。

 飛行4時間圏内で本州や東アジアの主要都市をカバーできる地の利を生かしつつ、ハード面での整備を追い風に、沖縄は主要産業の観光で飛躍を期す。(森田晶宏)

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