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【早坂礼子の経済ウォッチング】進化する光の演出 次にくるものは…水中?香り?
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日本の技術と演出力で磨かれたLEDのイルミネーション。2020年の東京五輪を見据え、世界市場への進出に期待が膨らむ
日本人の技術力や感性で進化を続けるイルミネーション。すでに次世代で主流になりそうな技術や演出が取り入れられ始めている。舞台はいずれ海外にも広がりそうな勢いだ。
LED(発光ダイオード)電球の普及で隆盛を極めるイルミネーションだが、「いまのような形はいつか廃れるでしょう」と予言するのは大手空間ディスプレー会社・丹青社の菅野敦夫事業管理統括部長だ。「白熱電球がLEDに取って変わられたようにいずれ新技術が出て来るはずです」と話す。
その萌芽はすでに出はじめている。長崎県佐世保市のテーマパーク「ハウステンボス」では今年「水中照明」が導入され、空中だけでなく水中でも光の演出を行っている。水中が虹色に輝く運河を船が通るたびに光の噴水が舞い上がり、連動して周辺の樹木も光り輝くしかけは来場者の人気アトラクションだ。
有機エレクトロルミネッセンス(EL)もある。動植物を構成している有機物に電圧を加えると光る物理現象を利用した技術で、液晶画面などへの応用が研究されていたが、これをエンターテインメントに生かそうという動きだ。有機ELは光源が弱く、耐用年数も短いのが弱点だったが、年々改良されて今年は福岡県北九州市の「スペースワールド」や栃木県足利市の「あしかがフラワーパーク」などに新しい明かりとして取り入れられた。
技術だけではない。イルミネーションは当初、光だけだった。その後、LEDで光の演出が高度化し、それに音や映像が加わった。次にくるものは何か。
前述の菅野さんは「香りではないか」とみる。人気映画シリーズ『男はつらいよ』の舞台となった東京都葛飾区の「葛飾柴又寅さん記念館」には「団子・くるまや」の模型があって草団子のにおいが漂う。裏手のタコ社長が経営する「朝日印刷所」では油が入り交じったようなインクのにおいがする。場内に設置されたセンサーが人の気配を察知して特定の香りを出し、視覚だけでなく嗅覚も刺激する演出だ。菅野さんは「イルミネーションも目や耳で楽しむだけでなく香りをかいだり、風を感じたりするショーが出て来る。五感を刺激するようになるのでは」と予測する。
海外から導入されたイルミネーションは日本で進化を続けている。機能に潤いやにぎわい・楽しさを加えた光の演出が日本のイルミネーションの得意分野だ。「ただ明るいだけではダメ。日本人は細部まで気が配られた内容を好みます」と菅野さん。夜景評論家の丸々もとおさんが「日本人は絵の具で絵を描くように明かりを使う。花鳥風月というか、海外にはない繊細で情緒的な演出なんです」と補足してくれた。
裾野の広がりにつれ、このところ業界関係者から「なにも国内の施設だけに留まらない。場所さえあれば技術と人と商品を送り込み、そこでビジネスができるではないか」という声が出始めている。クルマや家電と同じように日本のイルミネーション技術や編集力も、いずれクールジャパンの有力コンテンツとして輸出が可能になるという見方だ。
「政府内で検討されているカジノの設置が日本でも可能になれば、周辺施設の飾り付けで日本のイルミネーション技術をアピールする場になる」「2020年東京五輪の演出も格好の売り込みの場になる」。業界内からは前向きな発言が聞こえてくる。