イルミネーションの点灯が今年も全国各地で始まっている。LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)の普及で、電飾は年々華やかになり、景気の回復基調を反映して今年はさらにパワーアップ。電飾部品や空間デザインといった関連ビジネスも急拡大している。一方で光害を含めた環境面への配慮や人材育成などの課題も少なくない。
技術革新でこれまで不可能だった色や光の演出が可能になった。イルミネーション見物が目的の人出で経済効果も増大。周辺商店街に活気を与え、経営難に直面していたテーマパークの再建に弾みをつけるなどプラス効果の事例は多い。
いまや日本のあちこちで見かけるようになったイルミネーション。電球や発光体で風景や人物などをかたどり、夜の空間を演出する飾りだが、有効な集客手段として商業施設や観光名所の“起爆剤”になりつつある。
語源は「光り輝くもの」で、16世紀のヨーロッパでキリスト教徒がクリスマスの飾りにろうそくの明かりをともしたのが起源とされる。日本では明治時代に観艦式で軍艦が海面を一斉に照らしたのが始まりという。
「現在のような形で使われ出したのは1991年の東京・原宿の表参道です」と、空間ディスプレー大手・丹青社の事業管理統括部で統括部長を務める菅野敦夫さんは振り返る。「ケヤキ並木に地元の商店振興組合が、麦球と呼ばれる、ちかちか光る小さい電球を飾った。取り付けたのは原宿の電気屋さんでした」。
それが95年の神戸ルミナリエ、99年の東京ミレナリオなど海外からデザイナーを招いての大規模なものに進化。冬季を中心とした期間限定イベントとして各地に広がっていく。だが、萌芽期のイルミネーションは白熱電球が主流。消費電力が多く高コストで、戸外が風雨にさらされると球切れを起こしがちで耐久性もなかった。
これに劇的な進化もたらしたのはLEDだ。90年代に青色発光ダイオードが開発され、光の3原色がそろってさまざまな色が作れるようになった。この結果、複雑な「光の演出」も容易になった。熱を発しないので電飾を取り付ける樹木などにも優しい。防水性があり戸外での耐久性も高い。コストは白熱電球の10分の1とまさにイルミネーションにぴったりで、10年ほど前からまたたく間に全国各地に広まった。
東京ミッドタウン(東京都港区)、大阪城(大阪府大阪市)周辺の商業施設や大手テーマパークには、イルミネーションを見るために年に数10万人から多いところではのべ数100万人がつめかける。会社更生法を申請した長崎のテーマパーク・ハウステンボス(長崎県佐世保市)は旅行会社のH.I.S.の支援後に導入された大規模なイルミネーションが国内外の観光客の評判を呼んで完全に息を吹き返し、今年は経営不振だったラグーナ蒲郡(愛知県蒲郡市)にも資本参加するほどになった。テコ入れの鍵はイルミネーションという。
グラバー園や大浦天主堂など著名な観光スポットを擁する長崎県では、行政がイルミネーション設置に乗り出している。国はシャッター通り化に悩む中心市街地の活性化策としてイルミネーションの役割に期待をかけている。
いまや商店街でもテーマパークでもイルミネーションがあたりまえ。その数はいま、全国で数千カ所を下らないという。(続く)