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対人ストレスの対処法が変わる 「自動思考の癖」を自己認識
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仕事をするうえで、大敵といえるのが人間関係のストレス。周りとの人間関係がうまくいかず、ストレスを感じてしまった時、その理由をじっくり考えてみたことはあるだろうか。自分自身の行動や発言を振り返ってみることで、関係が悪化してしまった原因を突き止めることができれば、今後よい関係を構築していくための対策も考えられるはず。今回は人間関係が悪化している原因を発見するための思考法/行動術を、3人のプロにうかがった。
人にとって、対人ストレスというものは大きな不安であり、恐怖です。原因追及のヒントになるのが、そうした不安・恐怖と直面した時に、「自分自身がどういう考え方(自動思考)になるか」を分かっておくこと。以下に代表的なものを挙げてみますので、自分がどれに当てはまるかを考えてみてください。
1.先行きを悲観する(やっぱり私はこういう運命なんだ)
2.自己否定する(私は最低な人間だ)
3.自責の念にかられる(私が全部悪いんだ)
4.あきらめる(何をやっても無駄だ)
5.強くあきらめる(どうせ私は何をやってもダメだ)
6.完璧主義になる(何とかしなければならないのに…)
7.思い込みが強くなる(みんな私を嫌っているんだ)
8.否定的結論を先取りする(私に改善できるわけがない)
9.恐怖を先取りする(絶対に悪いことが起こるに違いない)
10.思考停止する(どうしよう、どうしよう…)
11.被害者的思考に陥る(何で私ばっかりが)
12.後悔する(何てことをしてしまったんだ)
上記のような「自動思考の癖」を自己認識するだけで、対人ストレスへの対処法が変わってくるのです。自分のタイプを認識することでそれまでとは人間関係の取り方が変わり、状況が改善に向かう場合が多いです。まずは自分自身の自動思考を知る。これが関係悪化の原因を追究するうえで大切なことです。
人が前に進むための一番大きな原動力は、実は「感情」なんです。感情を抑圧しようとしたり、無理にねじ曲げようとすれば、自分自身との折り合いがつかなくなります。人間関係が悪い時こそ、まずは「相手に腹が立っている」という感情をきちんと受け入れること。これが原因追及のために大事なのです。一度感情を受け入れることで、冷静になることができ、腹が立っている相手のどこに腹が立っているかが見えてきます。冷静に考えて「納得のいかない」と思った部分が、関係が悪化している原因となっていることが多いです。原因が究明できていれば、その後は冷静な判断で「行動」をコントロールすることができるようになります。無理に相手を好きになろうと努力することは逆効果ですし、それでは根本的な解決にはならないのです。
人に聞くことで原因追究をしようという場合、「私のどういうところを変えてみるといいと思う?」と、ストレートに聞いてみるのがいいでしょう。ただし、問題は「誰に聞くか」。もちろん気兼ねなく話せる人が一番いいのですが、大事なのは「日頃から主義主張の強すぎる人」「よく『○○するべきだ』と言う人」は避けるべきだということです。人間関係が悪化した原因を探るためには「客観性」が大事。「多様性に対して寛容である人」を選んで相談し、客観的な視点でアドバイスをもらうことが、前向きに原因追及するためには必要です。
ストレスなく働けるのが一番なのは言うまでもない。ただ、実際にストレスを感じている場合は、向後氏が言うように「無理に自分自身の感情を変えようとしない」ことが大事。そのうえで、冷静に物事を見るように努力してほしい。人はストレス状態になると肩に力が入り、背中が丸まって下を向きがち。意識が上半身に集中しすぎることで、地に足がつかなくなる。そんな状態では、まともな判断を下すのも難しいもの。まずは深呼吸したり、人に話すことで一旦立ち止まってみて、冷静な状態で次の行動を考えてみよう。今回のアドバイスを参考にして人間関係が悪化している原因を突き止めることができれば、それが周囲と円滑な関係を築くための第一歩となるはずだ。