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仕事・キャリア
このまま営業マンを続けていいのか? 26歳のキャリアチェンジ
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営業の仕事に就いて3年ほどが経った26歳。誰しも一度は、「このまま営業を続けていていいのか?」と考えるタイミングのようだ。3年間頑張ってもなかなか思うような成果が表れず、先が見えなくなったり、いつまで数字を追いかけなければいけないのかと辛さを感じたり…。しかし、営業からキャリアチェンジするにしても、営業としてキャリアを積むにしても、安易に決めるのではなく、自身のキャリアの方向性をじっくり考えてみることが大切だ。専門家と、キャリアチェンジ経験者の声から、考え方のヒントを探ってみよう。
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株式会社人材研究所 代表取締役社長/曽和利光氏
リクルート、ライフネット生命、オープンハウスで人事部門、管理部門の責任者を務め、主に採用・教育・組織開発の分野でさまざまな実務やコンサルティングなどを経験。2011年10月に独立。「人々の可能性を開花させる場や組織をいかに作るか」に取り組んでいる。
3年間、営業として数字を追い、走り続けてきた26歳。「こんなしんどい仕事をずっと続けていくイメージが湧かない」「別の職種にキャリアチェンジしたい」と思うことも多いだろう。企業の採用代行や人事コンサルティングなどを幅広く手掛ける、人材研究所の曽和氏は、そんな現状についてこう語る。
「実際、26歳ぐらいの年齢で、営業を飛び出す人は少なくありません。営業の仕事でマーケティングをかじったからマーケティング職に転身したい、事業提案の企画を一から考えたから企画職にも転身できるのでは?などと考える人が多いようです。しかし正直、営業3年で身につく水準の企画やマーケティング経験では、キャリアチェンジは難しいでしょう。ほかの職種も、もちろん同様です。『少なからず経験があるから転職できる』と楽観的に捉えて会社を辞めても、転職活動は難航が予想されます。なぜなら、いくらポテンシャルが評価される若手であっても、その職種で経験を積んできた人にはかないませんし、今は、コンサルタントが企画職やマーケティング職に、公認会計士や弁護士などが経理財務職に…というように、『専門知識を極めた人』が数多く事業会社に転職しようとしています。たとえ各分野の基礎知識があったとしても、経験者や専門家に競り勝つのは難しいでしょう」
それでも、キャリアチェンジを志す場合は、「今までの経験の中から一つ軸を決めて、それを深める努力をするのが成功の近道」という。
「その際は、『その仕事が本気で好きか』で決めることが大切です。専門知識を高めるためには、継続的に勉強し、知識をブラッシュアップしていく努力が必要。果たしてそれができそうか?と自分に問うてみてください。逆にいえば『好きこそものの上手なれ』にかなうものはありません。どんどん勉強したい!と思える分野であれば、自然と努力ができ、専門家の知識量にも早晩追いつくことができるでしょう」
まずは、今までの経験のどこに軸足を置くかを考える。そして、その分野を本気で身につけようと思えるかどうか、仕事内容を調べてみる。
これが「次」を決める重要なステップだ。仕事内容については、専門書に目を通して勉強したり、その職種に就いている人にヒアリングする方法もあるし、SNSで情報収集するのも一法。本気になれそうな仕事だと確信できれば、覚悟を持って飛び込んでみよう。
「ただ、その場合もいきなり転職するより、まずは『社内異動』を狙うほうが実現可能性が高い。自社で異動願いを出して、勉強を続けつつ数年間経験を積めば、『専門を極めた人』にも近づけます。それから転職活動をしたほうが彼らに勝てる可能性が高いでしょう」
しかし、曽和氏は「安易に営業の仕事を飛び出す前に、営業のよさも再考してほしい」と訴える。
「どの企業も、『若くて行動力があり、セールステクニックがある若手営業経験者』を欲しがっています。しかし、転職市場に該当する人材が少なく、需要に供給が追い付いていない状況なんです」
この場合の「セールステクニック」とは、例えばクライアントの予算を見極める、誰が決裁権を持っているか判断する、クライアントの心を動かすために相手の視界に立ってクライアントメリットを考える…などといった、いわゆる営業手法の根幹部分を指す。
「若手営業の企画力は、年々レベルアップしています。ロジカルシンキングの必要性が広く認知され、MECEの考え方は今や学生でも知っているほど。しかしその一方で、昔ながらのセールステクニックは『泥臭い』などと軽んじられる傾向がある。実際、営業を辞めたいという若手の多くは、『ただ売り込むだけの仕事がいやだ』などと言います。
しかし、これに伴い『せっかく最高の課題解決案を作ったのに、それを聞き入れないなんて顧客が悪い』などと自己中心的に考え、自らの売りこみ方を省みない若手が増えています。この『せっかくの最高の提案』を『相手に納得させ、受け入れてもらう』ために必要なのが、セールステクニック。これは、顧客の視界に立ち、相手の心理状況や社内の立場などを読み、どう説明すれば納得するのかを考えるというもの。曖昧なリアルから本質を見極める力が必要になるため、鍛えがいのあるスキルといえます」
セールステクニックが求められるは今だけのトレンドではなく、中長期的にも求められ、評価されるスキルだという。
「現在の営業職には、圧倒的に足りないスキルであり、希少価値は高い。相手の立場を理解し、どうすれば納得し動いてもらえるかを考えるスキルは、営業現場だけでなくマネジメントにも大いに役立つものなので、ここを鍛えておけば昇進、昇格もしやすいはず」
では、日々の仕事の中でどうやって鍛えればいいのだろうか。
「相手が顧客でも上司でも、『その人の2つ上の立場の人の視点』を想像し、目の前の相手のことを考えてみましょう。そうすれば、目の前の相手がどんな立場にあり、どんなプレッシャーを受けているか、今の関心事は何か…などが想像できるでしょう。『クライアントの担当者に、この提案を社内でエスカレーションしてもらうには、どんな説明をしてどんな資料を用意すれば動いてもらいやすくなるか』などの頭が働きます。これを繰り返していくことで、相手のかゆい所に手が届く動き方ができるようになります」