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仕事・キャリア
営業は終わりのない数字との戦い キャリアチェンジ組の話を聞いた
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営業の仕事に就いて3年ほどが経った26歳。誰しも一度は、「このまま営業を続けていていいのか?」と考えるタイミングのようだ。3年間頑張ってもなかなか思うような成果が表れず、先が見えなくなったり、いつまで数字を追いかけなければいけないのかと辛さを感じたり…。しかし、営業からキャリアチェンジするにしても、営業としてキャリアを積むにしても、安易に決めるのではなく、自身のキャリアの方向性をじっくり考えてみることが大切だ。専門家と、キャリアチェンジ経験者の声から、考え方のヒントを探ってみよう。
新卒でイベント会社の営業職に就き、3年間働きました。担当していたのは、アミューズメント施設などでのイベント提案。しかし、経済環境の影響もあり、なかなか大型のイベントが受注できず、営業成績はイマイチ。3年間頑張っても芽が出ず、27歳の時「自分には営業適性がない。別の仕事に転職したい」と思うようになったんです。
ただ、イベント企画自体を考えたり、イベント受注後の会場の設計や装飾手配、ギミックづくり、POPづくりなどには楽しさを感じていました。必要に迫られ、見よう見まねでIllustratorやPhotoshop、CADなども独学で覚えました。これらを操作しながらイベント全体の企画や運営を組み立てていると、どんどんアイディアが浮かんでくるんです。「企画の仕事のほうが向いているのでは?」と思いつつも、いきなり企画職に転職できるとは思えなかったので、「IllustratorやPhotoshop、CADのスキルを活かせるところ」で求人を検索。すると、未経験OKのHPデザイナーやメーカーの販促企画職などがいくつかヒットし、その中の一つである工具メーカーに採用されたんです。
現在は、自社のカタログやチラシの企画と作成、営業支援キャンペーンの企画や販促ツール作りなど、企画のほか販促、宣伝などに広く携わっています。IllustratorやPhotoshopはフル活用中。自社の展示会の会場の図面も自ら引いているので、社内で重宝がられているようです。数字のプレッシャーから解放され、やりたい仕事に就けて、本当に満足。「まず希望の職種ありき」ではなく、「持っているスキルを活かせる場所を探した」のが、私の勝因だったと思っています。
工具メーカー・企画職/松浦健吾さん(29歳・仮名)
キャリアウーマンに憧れ、営業職を志望。バリバリ働いて、女性営業マネージャーになるのが夢でした。実際、営業の仕事は楽しく、成績も良好。
しかし、毎日が激務で、終電帰りが当たり前。売り上げが上がれば上がるほど業務量も増え、休日を取るのもままならなくなってしまいました。入社3年目に結婚したのですが、夫のほうが家に帰るのが早く、毎晩夜中まで待たせてしまうのが辛くて…。この人のためにもっとやるべきことがあるのでは?と思い、26歳の時に転職を決意しました。
希望は、今より残業が少なく、休みが確保できるところ。営業の仕事は好きだったので、別の職種への転身は考えていなかったんです。ルート営業がメインの今の会社を見つけ、応募したところ、面接の場で「前職がそんなに忙しかったのであれば、営業職ではなく、まずは営業事務をやってみない?」と提案され、「まずは、なのだったらチャレンジしてみようか」と何の気なしに入社を決めました。
今の仕事に就いて、早くも2年。「思いのほかこの仕事に向いている」と感じています。前職はアシスタントがおらず、提案書作りや見積もり作成、営業数字管理などすべての文書作成をこなしていたので、書類作成はお手のもの。営業時代、外回りをしながら「今のうちにアシスタントが見積もりを作ってくれていたらどんなに楽か…」などと考えていたので、今は必要になると思われる書類を、営業に言われる前に先回りして作っています。「ありがとう!助かるよ」と言われると、本当に嬉しいし、経験が活かせる喜びも感じますね。残業もほとんどないので、家事との両立もできています。このままずっとここに勤め続け、「営業事務の生き字引」になるのが今の私の目標です。
機械商社・営業事務職/三宅洋子さん(28歳・仮名)
前職は、不動産会社の営業職。戸建住宅の新規開拓営業として、個人宅に飛び込みを続ける日々でした。しかし、いくら頑張って受注を上げ、目標を達成しても、次の期にはさらに高い目標を課される。終わりのない数字との戦いに、「いつまでこれを続ければいいのか」と徐々に疑問を覚えるようになったんです。
3年が経ったころ、キャリアチェンジを真剣に考え、いろいろな職種を検討しました。「若いうちは体力勝負で何とかなるが、将来を考えたら資格や技術を身につけたほうがいいのではないか」とエンジニアになることも検討したほど。しかし、今までの営業としての3年もじっくり振り返ってみて、営業の面白さも再確認したんです。営業は画一的なものではなく、会う人ごとに話す内容もアプローチ方法も変えなければいけない。でもそれを考えるのが楽しいんだと気付きました。そこで熟考の末、「数字だけではなく、部下をまとめ育成し、組織を率いるという、今までとは違うやりがいを得るために、マネジメント職を目指そう」と決意しました。
現在、早くマネジメント職に就けるチャンスが高い、小規模のネットベンチャーを中心に「営業マネージャー候補」としての入社を目指して転職活動中。まだスタートしたばかりですが、前職での経験と実績が評価され、書類通過率は高く、面接にも呼ばれ始めています。入社後は、まずは営業の最前線でバリバリ働きつつ、新しい事業の立ち上げなどにも積極的に関わり、できるだけ早く営業全体をまとめる立場につきたいですね。
不動産会社を退職し転職活動中/花岡公平さん(28歳・仮名)