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「反面教師」だった父も、今は育児に協力 俳優・大浦龍宇一さん

ニュースカテゴリ:暮らしの生活

「反面教師」だった父も、今は育児に協力 俳優・大浦龍宇一さん

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「父は反面教師でした」と話す大浦さん(瀧誠四郎撮影)  父方の祖父は松竹を代表するスター俳優の高田浩吉さん、叔母に女優の高田美和さん(67)…。芸能一家に育った俳優の大浦龍宇一さん(45)。今はシングルファーザーとして、長男の主之和(すのわ)くん(10)の子育てに奮闘する日々だ。父親の梶浦由紀夫さん(74)は今でこそ子育てを手伝ってくれるが、かつては「反面教師」だったという。

 大浦さんにとっての「お父さん」は由紀夫さんというより、祖父の高田さんだった。大浦さんが子供の頃、一家は祖父の家の敷地内に住んでいた。「おじいさんが『ゴッドファーザー』的存在でした。実際に祖父をお父さんと呼んでいましたし。父はパパって呼んでいたんですけれど」と大浦さん。

 家族の中心は高田さん。由紀夫さんも相談事や何かあったときには高田さんを頼りにしていたという。大浦さんから見た由紀夫さんは「とてものんびりした人」。大浦さんが高校を中退したときも、復学したときも「大丈夫や、大丈夫や」と心配した様子も見せない。怒られたことも褒められたこともほとんどないという。「普通の家庭のお父さんらしいことをされた記憶はあまりないですね」

 数少ない記憶は一緒に絵を描いて遊んだこと。「父はテレビアニメの絵を描くのが上手で。一緒に絵を描いて遊びました。上手に描けると褒めてくれましたね」

 だが、大浦さん自身が俳優の道に進んだのは由紀夫さんの影響もあった。由紀夫さんは一時期、俳優をしていたことがあった。由紀夫さんはチャンバラのやり方や、こう刀を振ったらよく切れて見える、と話をしてくれた。「楽しかったですね。この世界に引っ張られた要因の一つかもしれません」

 大浦さんは大学卒業後に上京し、俳優として順調にキャリアを重ねていった。デビュー当初、芸能一家で育ったことを公表していなかったのも由紀夫さんへの反発もあったかもしれない。のんびり屋で浮世離れしたところのある由紀夫さんとは距離を保ったままつきあいが続いた。

 由紀夫さんとの関係が変わってきたのは、大浦さんが離婚し、平成23年に主之和くんを引き取り、シングルファーザーとしての生活を始めてからだ。当初は「何もできひんから」と言っていた由紀夫さん。

 しかし、昨年、由紀夫さんが名古屋から沼津へ移住。ちょうど主之和くんを見てくれる人がいなくなってしまったことから子育てへの協力を頼んだ。すると、電話の向こうから、「いいよ」と軽い調子が返ってきた。昨年の秋以降、最低月に1回は沼津から上京し、主之和くんと一緒にいてくれる。

 「父は自分にとって、こうあってほしいと望む一般的な父親像ではなかった。愛情がなかったわけではないんですが、普通の形ではなかった。でも、その分、自分は息子に普通の愛情を与えたいと思えた。反面教師でした」と明かす。

 由紀夫さんがいたからこそ父親の自覚を強く持てている。目標は息子から「スーパーファーザー」と思われるようになることだ。(油原聡子)

 ≪メッセージ≫

 笑顔を絶やさず、心も体も健康に過ごしてください。主之和のこと、これからもよろしくお願いします。

【プロフィル】梶浦由紀夫

 かじうら・ゆきお 昭和15年、京都府生まれ。俳優、高田浩吉さんの長男として育つ。同志社大卒業後、5年間の役者生活を経て、梅田コマ劇場入社。その後、高田浩吉のマネジャーや喫茶店経営、サラリーマン生活を経て、現在は静岡県沼津市で暮らす。

【プロフィル】大浦龍宇一

 おおうら・りゅういち、本名・梶浦靖博(かじうら・やすひろ) 昭和43年、京都府生まれ。立命館大卒業後、上京。俳優としてテレビを中心に、映画や舞台など幅広く活躍。代表作にテレビドラマ「この世の果て」「天うらら」など。最近は、シングルファーザーとしてバラエティー番組にも出演。

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