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書評
【書評】『本当はすごい! 東京の歴史』田中英道著
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「本当はすごい!東京の歴史」
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日本の歴史は「西」から発展したと一般に考えられています。その既存概念を打ち砕いてくれるのが本書です。「西」が栄える以前から、今の関東=「東」が日本の中心地であったと力説しています。
その根拠として田中英道先生がまず着目したのは富士山の存在。古来、山や自然を信仰してきた日本人にとって最も重要で神聖な富士山。その山が見える場所こそ国の中心地と推測しています。
さらに建国の歴史にまつわる神話と、考古学的発見や日本人の風俗が符合する部分にも注目。例えば「国譲りの神話」。天照大神(あまてらすおおみかみ)が大国主命(おおくにぬしのみこと)に迫り、話し合いで国を譲らせました。このとき高天原(たかまがはら)から出雲に派遣された2神が茨城の鹿島神宮、千葉の香取神宮に祀(まつ)られていることから、高天原はこの付近にあったと考えられます。従来の歴史家にはない大胆な発想と視点で、読む人を引き込みます。
天照大神の孫神一行が九州へ移り、その4代目の子孫(神武天皇)が瀬戸内、熊野経由で大和を征服、初代天皇として即位したのは周知の通り。
その大和と父祖の地東国が歴史的につながり、東京を中心とする関東の重要性が焙(あぶ)り出されます。現在、東京に皇居があり、首都が置かれているのは歴史的必然なのです。
本書の企画が立ち上がった後、富士山が世界文化遺産に登録され、東京でオリンピック開催が決定。刊行直後には、皇室と出雲国造(こくそう)家の縁組が発表されました。歴史の本としては珍しくタイムリーな一冊と自負しております。(ビジネス社・本体1400円+税)
ビジネス社編集部・本田朋子