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田中「感謝」メジャーへ前進 楽天が容認 米球団、争奪戦に

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田中「感謝」メジャーへ前進 楽天が容認 米球団、争奪戦に

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球団からメジャー挑戦を容認され、報道陣の前で明るい表情をみせる楽天の田中将大(まさひろ)投手=2013年12月25日、宮城県仙台市宮城野区の楽天球団事務所(土谷創造撮影)  プロ野球楽天は12月25日、去就が注目される田中将大(まさひろ)投手(25)の新ポスティングシステムでの米大リーグ移籍を容認すると発表した。球団は2000万ドル(約20億8000万円)を上限に譲渡額を設定し、日本野球機構(NPB)を通じて申請の手続きを取った。大リーグ30球団に通知した翌日から30日間が交渉期間となり、10球団以上が獲得に乗り出すとみられる。

 イメージ低下避ける

 「また一歩前に進んだ。球団には感謝の気持ちでいっぱい」

 仙台市内の球団事務所で立花陽三球団社長(42)との会談を終えた田中は、取り囲んだ報道陣にこう話した。立花社長は「新制度には多くの問題があるが、7年間の貢献度は大きい」と容認の理由を説明した。

 今季が7年目だった田中は24勝0敗1セーブ、防御率1.27で、プロ野球史上初めて無敗で最多勝を獲得。チームを創設9年目で初のパ・リーグ優勝と日本一に導いた。田中が自由に海外の球団に移籍できるフリーエージェント(FA)資格を取得するのは順調でも2015年オフとなるため、田中は(12月)17日、球団側に新制度を利用しての大リーグ挑戦を申し入れた。

 だが、米メディアで当初、1億ドル(約104億円)に達すると報道されるほど入札額の高騰が予想されたのに、新制度で譲渡額の上限が2000万ドルに設定されたことに球団側が難色を示し、回答を保留。三木谷浩史オーナー(50)らとともに慎重に協議を重ねた。それでも容認したのは「最後はやはり金額か」とみられ、親会社も含めた球団のイメージ低下につながる事態を避けたかったからだ。

 「先発ローテ入れる」

 田中にとって「プロに入ったときにはなかった」という大リーグへの思い。だが、今年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場したことが大きな転機となった。

 「思うような結果を残せずに悔しい思いもした。自分の原動力というか、活力となった」。世界の野球を体感したことで、レベルアップしたいというアスリートの本能が刺激された。

 田中に対するメジャー球団の視線は熱い。田中の高校時代から日本へスカウトを送り、長期的な視点で能力を見極めてきた。そこに今季の圧倒的な成績が加わり、高い評価は揺るぎないものとなった。ヤンキースのジョー・ジラルディ監督(49)は「24勝0敗で、それ以上どう良くなるんだ。こっちに来ても先発ローテーションに入れる」と激賞している。

 田中は今季サイ・ヤング賞(最優秀投手賞)候補になったダルビッシュ(レンジャーズ)とよく比較される。あるナ・リーグ球団の編成担当者は「ダルビッシュは変化球投手という見方をされている。田中はダルビッシュより球速は落ちるが、真っすぐを中心に押す米国好みのパワーピッチャー」と説明。「評価されているのは勝利への執念。ピンチになってギアが上がる。それは彼特異なものだ」と付け加えた。

 誇りに思うべき選手

 田中を送り出す楽天の星野仙一監督(66)は「行けると信じていたし、行かしてやりたいという気持ちだった。大リーグからオファーが来る。そういう選手が楽天から出たことを誇りに思うべきだな」とエールを送った。

 プロ入り後の7年間、仙台で過ごしてきた田中。大リーグ挑戦への道が開け、「チーム、ファンに支えられてここまで来られた。ここでやったことを胸にしっかり刻み込んで、これからも野球を続けていきたい」と語り、新天地での活躍を誓った。(SANKEI EXPRESS

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