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政治
「責任野党」と「再編派野党」 二分化
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大阪市長の辞表を提出する前に、囲み取材に応じる橋下(はしもと)徹氏(右端)=2014年2月7日、大阪市北区(松永渉平撮影)
日本(にっぽん)維新の会共同代表の橋下(はしもと)徹氏が2月7日、大阪市長を辞職した。「大阪都構想の設計図を示したい」として出馬する出直し市長選が、野党再編にどう影響を与えるかが注目されている。選挙に勝てば維新の党勢は回復。再編に意欲的な橋下氏の存在感は高まり、再編機運も盛り上がる-。当初、そんなシナリオがささやかれたが、現実はそうでもないようだ。背景には、安倍晋三首相が言う「責任野党」の結集の動きがある。野党は橋下氏らの再編派と責任野党に二分化されようとしている。
橋下氏が出直し選を表明したのは、1日の大阪維新の会の会合でのことだった。地方議員らからは慎重論が続出したが、橋下氏は「わがままを通させてほしい」と押し切った。もはや誰も止められない。そんな空気が会場を支配した。
神妙な面持ちで会場を後にする議員たち。無理もない。橋下氏は敗北した場合、政界を去る意向を示しており、それは日本維新が解体危機に直面することを意味するからだ。逆に、勝利すれば維新は勢いを取り戻し、大阪系議員が積極的な再編も、維新主導で加速するはず-。
だが、議員たちのそんな期待も「取らぬたぬきの皮算用」になりそうな気配だ。自民、民主両党の府連は「出直し選に大義はない」として、市長選を無意味なものにするため、対立候補を擁立しない方針を決めた。公明党もこれに同調している。
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が1月4、5両日に実施した合同世論調査で、維新の支持率は3.8%と低迷が続いている。無投票再選では、支持率が急上昇することはないだろう。仮に選挙戦になったとしても、相手が泡まつ候補では、橋下氏が街頭演説をすればするほど、「独り相撲」の印象が強くなるに違いない。
こうした中、維新のもう一人の共同代表、石原慎太郎氏に、みんなの党の渡辺喜美(よしみ)代表が政策について協議する「戦略対話」を呼びかけていることが判明した。石原氏も応じる見通しで、すでに日程調整に入っている。
渡辺氏は安倍首相と「戦略対話」を行うことですでに合意しており、首相が意欲を示す集団的自衛権の行使容認などで協力姿勢を示している。首相が言う「責任野党」にみんなが含まれるのは間違いない。その首相と石原氏は、もともと思想的に近い関係にある。渡辺、石原両氏は野党再編には否定的。透けて見えるのが「責任野党」結集の思惑だ。
維新は原発政策などで「東西」の溝があるが、橋下氏は出直し選のことで頭はいっぱいだ。維新内は今後、保守色が強い石原氏ら旧太陽の党系が相対的に影響力を増すことが予想される。渡辺氏は橋下氏を敵視しており、橋下氏のいぬ間に、石原氏に接近することで、維新を分裂させようとしているようにも見える。
渡辺、石原両氏が距離を縮める背景には、結いの党の存在を抜きにして語ることもできない。結(ゆ)いの党はみんなの党を分裂して結党しただけあって、渡辺氏と結いの江田憲司代表は対立した関係でしかない。石原氏は、結いを「護憲政党だ」と言って嫌っており、橋下氏主導で合流をにらみ維新が結いと進めている政策協議を、苦々しく思っている。
一連の流れから見えてくるのは、「責任野党」と「再編派野党」への二分化だ。現在、再編派に勢いはなく、まるでワンサイドゲーム。5日の参院予算委員会で首相は余裕たっぷりにこう語った。
「野党はただ単に政権をとることのみに汲々(きゅうきゅう)として、政局を作ることだけを考え、政策的な議論をおろそかにしてはならない」(坂井広志/SANKEI EXPRESS (動画))