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彩り豊かで愛らしい 小さな宝石箱 祇をん 豆寅
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名物「豆すし」は舞妓さんのおちょぼ口でも食べられるようにと一口大のサイズ。手を付けるのがためらわれる美しさ
古都・京都には、国内外を問わず多くの観光客が訪れる。海外や府外からの客を案内する側も、なるべく京都らしさを味わってもらいたいと食事場所にも気を配る。祇園にある「祗をん 豆寅」は、小さな器にのせられた京料理や一口サイズのすしなどを提供する、見た目も味も申し分ない“THE KYOTO”な店として愛されている。
祇園の中心を通る花見小路通(はなみこうじどおり)には、由緒ある茶屋や料理屋が立ち並び、情緒ある町並みだ。「祗をん 豆寅」は都をどりで有名な祇園甲部歌舞練場の向かいにある。格式張らずに京都らしさを味わえると人気の店だ。目の前に供された数々の「豆皿料理」に思わず顔がほころぶ。
「京のおいしいものを少しずつ味わっていただきたいと思い、『豆皿料理』という名でお出ししています」と料理長の木村和義さん(41)が説明する。「豆皿」とは、塩や香の物などをのせる小さく浅い皿「手塩皿」の別名だ。一寸豆や湯葉、数の子などを使った京の伝統的なおばんざいを中心に、紹興酒漬けにしたエビといったオリジナルの一品も。どれから食べようかと迷うのも楽しい。「お酒がほしくなりますね」という人も多いはず。
「酒のさかなとしても楽しんでいただけます」。店名の「豆」は「豆皿懐石」をさし、「寅」はお酒をさす。「お酒に酔った人のことを“虎”といいますよね。お酒に合う豆皿料理の店です」。一口のぜいたくを極めるのだ。
3月になると、「焼きタケノコ」が登場する。一足早く、焼きたてのあつあつをいただいた。
「こちらは、懐紙に包んでハンバーガーのように豪快に召し上がってください」。たっぷりの木の芽と一緒にガブリ。ほくほくしたタケノコの食感、木の芽と燻された竹の香りが相まって絶妙のハーモニーを醸し出す。新鮮な食べ方だ。これはクセになりそう。「旬のものはドンっと思う存分楽しんでいただきたいんです」と木村さん。
桜の枝が添えられた春野菜の天ぷらは塩でいただく。若狭から仕入れた「ぐじ(甘鯛)のお造り」はぷりぷりで新鮮そのもの。昆布のつくだ煮といっしょに食べると、ぐじの甘みと昆布の塩気がいいあんばいだ。そして、いよいよ名物の「豆すし」。季節の魚介や京野菜、京漬物で握られた一口サイズのすしは、蓋を開けた瞬間に思わず笑みがこぼれるほど彩り豊かで愛らしい。まるで宝石箱のようで、食べるのがためらわれる。
木村さんは、料亭や有名ホテルでの修業を経て、約10年前に「豆寅」を立ち上げた。祇園という立地もあり、舞妓さんのおちょぼ口でも食べられるような一口サイズの料理をと考えた。京料理の伝統を大事にしつつ、ちょっとした遊び心も加えている。
「伝統の味にオリジナリティーを加えることも必要なんです」と木村さん。さまざまなアイデア料理は「ふっと、降りてくるんですよ」とちゃめっ気たっぷりに笑う。「いろんなことに挑戦しないとね」
3階建ての町家を改装した店内には個室はもちろん坪庭を眺められるカウンター席もある。随所に京文化を感じさせるスパイスが添えられている。お酒を楽しみにふらりと訪れるもよし、接待や女子会に使うもよし。「味も雰囲気も京都らしさが存分に味わえる」と界隈の芸舞妓や著名人をはじめ多くの観光客が多く訪れるのも納得だ。(文:杉山みどり/撮影:恵守乾(えもり・かん)/SANKEI EXPRESS (動画))