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市場拡大、人材確保…MLBの野望 3.22開幕戦 豪で初開催

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市場拡大、人材確保…MLBの野望 3.22開幕戦 豪で初開催

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キャンプ地の米フロリダ州タンパで、ダッシュを繰り返して調整するヤンキースの田中将大。市場拡大を狙う大リーグは、人材確保の面でも海外に目を向け、「世界ドラフト」構想まで浮上している=15日(川口良介撮影)  米大リーグ機構(MLB)は米国本土での開幕に先立ち、3月22日にオーストラリア・シドニーで、ダイヤモンドバックス-ドジャースで開幕戦を迎える。豪州での初の開幕戦開催の裏には、アジア・オセアニア地域への市場拡大を狙うMLBの意図が垣間見える。「世界ドラフト」をはじめ壮大な構想も浮上している。

 放映権事業など展開

 大リーグの開幕戦が米国本土やカナダ以外で行われるのはメキシコ(モンテレイ)、日本(東京)、米自治領プエルトリコ(サンフアン)に次いで4都市目。豪州はラグビーやテニスが根強い人気を誇る一方、野球人気はいま一つ。オセアニアやアジアへの市場拡大を狙うMLBにとって、豪州初の開幕戦は重要な意味を持つ。

 MLBの積極的な海外戦略について、大リーグ評論家の福島良一(よしかず)氏(57)は「豪州での開幕戦は、優秀な野球選手が集まるMLBを世界中に周知させたいという狙いがある」とした上で、「MLB中継の放映権を含め、米国以外で行われる開幕戦はマーケティングの側面が強い」と指摘する。

 MLBは野球の国・地域別対抗戦「ワールド・ベースボール・クラシック」(WBC)を4年に1度開催しているが、バド・セリグコミッショナー(79)は「米国と日本の王者が対戦するような大会を実現させたい」と発言するなど、新たな事業展開にも意欲をみせる。

 世界ドラフト構想

 ヤンキースと7年総額1億5500万ドル(約158億円)の大型契約を結んだ田中将大(まさひろ)投手(25)は米国内でも話題を呼んだが、人材確保の面でもMLBは海外に目を向け始めている。近年、米国周辺の国・地域だけでなく、アジアなども含めて指名の対象を拡大させる「世界ドラフト」構想が浮上。制度面でまだ具体化していないとはいえ、MLBの今後の海外戦略が、日本のプロ野球界にも大きく影響を及ぼすことになりそうだ。(浅野英介/SANKEI EXPRESS

 ≪広がる日米の年俸格差 スター選手流出≫

 ヤンキースに入団した田中だけでなく、広島のエース、前田健太(25)も将来的にメジャー挑戦を表明するなど、日本のプロ野球で若くして実績を残した選手が大リーグへ移籍するのは、もはや自然の流れになっている。MLBへの選手“供給源”に成り下がった感のあるプロ野球。スター選手流出は歯止めがきかない状況だ。

 両者で最も拡大しているのが年俸面の格差。昨季、プロ野球の1軍選手の平均年俸が3733万円(労組・日本プロ野球選手会調べ)だったのに対し、メジャー選手の平均年俸は339万ドル(約3億4000万円)と約9倍の差がある。これだけ差があっては、日本人選手のメジャー挑戦に拍車がかかるのは当然だろう。

 昨年(2013年)、新ポスティングシステムに関する交渉では、日本野球機構(NPB)の交渉力不足も露呈した。福島氏は「MLBは10年、20年先を見据えたビジョンを持っている。NPBも機構としてのあり方を真剣に議論すべき時期に来ている」と話している。(SANKEI EXPRESS

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