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木のおもちゃ 優しい風合い、心配り Kukkia
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大阪市の中心部にある靱(うつぼ)公園は、緑の少ない都市部で近隣住民やサラリーマンらの憩いの場となっている。その公園に面した「Kukkia(クキア)」は、子供用の木のおもちゃブランド「gg*(ジジ)」と「kiko+(キコ)」をプロデュースし、展示販売している。おしゃれなガラス張りの店の明るく楽しげな雰囲気にひかれ、散歩中の親子連れをはじめ多くのファンが足繁く訪れている。
カラフルで木のぬくもりにあふれたおもちゃの数々に子供ならずともテンションが上がる。たとえばgg*のおもちゃ“お寿司のセット”はネタとシャリが磁石でくっつき、マグロやサーモンなど9種のネタで握り寿司を作ったり“巻きす”でのり巻きを作ったりとお寿司屋さんごっこが楽しめる。
靴下の形をしたメモリーゲームは右足に国旗、国名、その国のあいさつが記され、左足に国旗をモチーフにしたもようが描かれている。「それぞれの国の名前やあいさつの言葉、国旗を遊びながら覚えてもらえたらいいなと思って作りました」。そう説明するKukkia代表の塩見和代さん(以下、kaz*さん)はgg*とkiko+の2ブランドを手がけるデザイナーでもある。
kaz*とnov*(ノーヴィー)の2人の女性デザイナーが手がけるgg*は子供たちの安全に気を配って、表面の仕上げ剤にミツバチの蜜蝋(みつろう)から作ったワックスを使用。主にドイツ産のブナ材を使い、木の風合いが感じられるよう、木目がうっすら見える塗装に。「おもちゃには布のバッグ(ケース)をつけています。お出かけのときに入れたり、お片づけも覚えてもらいたいと考えました」
kiko+のおもちゃは、kaz*さんがプロデュース。100個のカラフルな星形のドミノ「tanabata(タナバタ)」は、一つ一つ願いを込めて並べたドミノを倒すと“1本の流れ星になるように”と作られた。ほかにもハンバーガー型カスタネットやポテト型のマラカス、カプセル玩具、シャボン玉セット…とアイデアあふれる木のおもちゃばかりだ。
「幼い頃、大工をしている祖父の工房に入り浸っていて、リクエストすると何でも作ってくれました」。木のおもちゃをプロデュースする原点はそこにあるという。短大卒業後、ビジュアルディスプレーなどの勉強で米NYに留学し、1年ほど現地で仕事もした。帰国後、木の玩具を作る会社に就職すると語学力を買われ海外部門の仕事を任される。そして、海外の工場を視察したときに転機が訪れた。
「木の香り、木くず、木を削る音に包まれた空間に入ったとき、祖父の工房で過ごした思い出が走馬灯のようにかけめぐったんです。『私がやりたいのはこれだ!』って、ビビビッときました」。それから木製の玩具に関する勉強を始めた。「のめり込むってこういうことを言うんですね」
そして、2007年にパートナーのnov*さんとgg*を立ち上げ、翌年2月に世界最大の玩具展示会・ニュルンベルク国際見本市でデビュー。また、鮮やかな色使いと遊び心いっぱいのkiko+は、仏・パリの展示会「メゾン・エ・オブジェ」で11年1月にデビューした。
「靱公園は私のイメージソース。オフィスの窓から公園で遊ぶ子供たちを見て生まれたおもちゃもあります。毎日いろんな発見があるんですよ」。市場は広がり、国内と海外を飛び回る日々を送るパワフルウーマンだ。
社名の「Kukkia」は、フィンランド語で“実を実らせる”という意味と“(植物の)茎”という2つの言葉をかけてつけたという。
「花と大地をつなぐ茎のように、おもちゃと子供とその家族、そして世界中の人をつなぎ、笑顔という花を咲かせたい。まだまだやりたいことがいっぱいあります」
今日も、店内でおもちゃと戯れる子供の「帰りたくない~」という声が聞こえる。ふっと笑顔になれる、「Kukkia」はそんな空間だ。(文:杉山みどり/撮影:山田哲司/SANKEI EXPRESS)