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【MLB】田中 粘りの投球、全米に強烈印象
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マウンドへ向かう田中将大(まさひろ)=2014年4月4日、カナダ・トロントのロジャースセンター(川口良介撮影) 米大リーグ初登板で初勝利を飾ったヤンキースに加入した田中将大(まさひろ)投手(25)は、期待に違わぬ実力を全米に見せつけた。敵味方の両チームの選手らに強烈な印象を与え、米メディアは粘り強さを高く評価した。
強打を誇る対戦相手のトロント・ブルージェイズの中軸3人は計4三振を喫した。3番のバティスタは2三振を奪われ、「すごい仕事ぶりだ。コントロールが良くてスピードもある。若いカウントからスプリットを使うのには戸惑った」と、配球にも驚いた。無安打の5番打者リンドは「速球、スライダー、スプリット、すべてがハイレベル。速い球に合わせようとしたが、うまくいかなかった」と脱帽するしかなかった。
中盤にリズムをつかんだポイントについて、ヤンキースの捕手マキャンは「真っすぐを思ったところに投げられるようになった」と解説。バッテリーとして息が合ったようで「素晴らしい投手。これから5、6年は付き合っていく」と、今後が楽しみな様子だった。
チームの先輩の黒田は自身の経験と重ね「自分の中で修正して切り替えていくことは、この世界で生きていく上で一番大切」と目を見張った。
ロスチャイルド投手コーチも「初登板で落ち着かなかっただろうが、よく立ち直った。学ぶことが多いから、これからが大切」と語った。
米メディアも、二回まで3点を失いながら立ち直った粘りの投球をこぞって称賛した。
ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は、先頭打者本塁打などで失点した後に注目し「困難を克服してテンポ良く投球できる」と評価し、球団公式サイトは「簡単には屈しないタナカ」との見出しを付けた。
CBSスポーツ(電子版)は球種別の割合などを分析。決め球のスプリットを「どれだけ嫌らしい球か。打者は手を出さずにはいられない」と紹介した。
ニューズデー紙(電子版)は「完璧ではなかったが、こういう状況(大注目の中での投球)を苦にしないことを証明した」と褒めたたえた。(共同/SANKEI EXPRESS)
≪ファン「東北代表、世界一目指して」≫
田中将のデビュー戦勝利に、昨シーズンまで在籍した楽天の選手ら日本球界から祝福の声が上がり、地元・仙台ではファンが惜しみないエールを送った。
楽天の星野監督は「あいつは持ってるなあ。(打線が)打ってくれるもんな。初登板で勝ちが付くのは大きいよ」と感心。田中将に代わるエースの役割が求められる則本(のりもと)は「これからも頑張っているところを見たいし、僕も頑張っている姿を田中さんに届けたい」と刺激を受けた様子だ。
バッテリーを組んだ嶋は「格好良かった」と素直に喜び、メジャー時代に通算434本塁打を放ったジョーンズは「攻撃的な打線に対し、投球内容は素晴らしかった」と褒めた。メジャー通算84セーブの斎藤も「これから時間をかけて田中らしくなっていくと思う。スタートとしては最高。次も楽しみ」と期待を寄せた。
同学年で将来的な大リーグ挑戦を希望する広島の前田は「練習前に少しだけ見ました。キャンプの時からユニホーム姿を見ているので、違和感はなかった」とコメント。少年野球時代のチームメートだった巨人の坂本はお祝いの電子メールを送ったという。
昨季、田中将が挙げた24勝のうち8勝を献上した日本ハムの栗山監督は「本調子じゃないが、点を取られた後に制球の安定感があった。きちっと自分の投球ができる」と評価。DeNAの中畑監督は「日本のプロ野球というのを認識して、ステップアップしていってほしいね」とエールを送った。
東日本大震災で被災し仙台市太白区(たいはくく)の仮設住宅で暮らす松岡養次さん(58)は「楽天を日本一に導いて、被災地を勇気づけたマー君は『東北代表』。つらくてもくじけずに、世界一を目指してほしい」と話した。
楽天の本拠地「コボスタ宮城」でもファンが活躍に期待を寄せた。宮城県多賀城市の谷口歩美さん(33)は、序盤に打ち込まれた田中投手に「楽天では調子が悪くても勝ち続けてきた。大リーグでも同じようにチームの柱になってほしい」と話した。長男、大悟君(8)も「(昨シーズン勝利数の)24勝を超えられるように頑張ってほしい」と目を輝かせた。
楽天が3月末に仙台市中心部にオープンしたスポーツラウンジ「TRGE」は、開店を試合時間に合わせて午前8時に繰り上げ、店内の大型モニターでファンが観戦。福島市から訪れた会社員、鈴木美穂子さん(43)は「どきどきしたけど、勝てて良かった」と喜び、「田中投手のピッチングには何度も励まされた。海を渡っても被災地を勇気づけてほしい」と話した。(SANKEI EXPRESS)