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ウクライナ東部2州 「住民投票」強行 憲法違反 国家分断の混乱に拍車
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ウクライナ・ドネツク州、ルガンスク州。※2014年3月18日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は首都モスクワのクレムリン(大統領府)での演説で、ウクライナ南部クリミア自治共和国と特別市セバストポリのロシア連邦への併合を宣言した。 ウクライナ東部のドネツク、ルガンスク両州で行政庁舎や警察署の占拠を続ける親ロシア派勢力は5月11日、両州の事実上の独立を問う「住民投票」を行った。ウクライナ憲法に違反している上、実施方法にも不透明な点が多く、ウクライナ暫定政権や米欧は結果を認めない立場だ。親露派が投票結果を根拠に独立を宣言した場合、ウクライナ情勢が一段と混迷するのは必至だ。
「人民共和国」を名乗る親露派勢力は両州で計3000カ所の投票所を開設したとしており、「高い投票率」を予測している。ただ、住民投票の成立要件は設けられておらず、国際監視団の目も届かないのが実情だ。
ウクライナ情勢をめぐっては、欧州安保協力機構(OSCE)が戦闘の停止や暫定政権と親露派の対話を軸とした危機打開策を打ち出し、調整が進められている。米国務省のジェニファー・サキ報道官は10日、「さらなる分裂と混乱を招く違法な試みだ」として投票結果を認めないことを明言した。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(61)も(5月)7日、住民投票の延期を呼びかけるなど微妙な距離をとっている。ロシアは最終的にウクライナに連邦制を導入させ、東部に影響力を行使する思惑だとする見方が強い。投票用紙の設問も「国家としての自立」について賛否を尋ねており、ウクライナ国内での自治権拡大や独立、ロシア編入など、今後の道筋に含みを残す形となっている。
親露派は12日午後にも大勢が判明するとしている。
≪憲法違反 国家分断の混乱に拍車≫
ウクライナ東部ドネツク、ルガンスク両州で行われた5月11日の「住民投票」。州都ドネツク市内で投票所とされた学校には、午前8時の投票開始から市民が次々と足を運んだ。
「この日を待っていた」と話したのは女性医師のアベリナさん(56)だ。「2月の政変で首都キエフにできたのは非合法のファシズム政権であり、今や(東部で)自国民に銃を向けている。現政権のウクライナにとどまることはできない」と力説した。
「国家としての自立」に賛成票を投じた男性技師のアレクセイさん(32)は「いかなる権力も地域の事情を考慮し、妥協点を求めて対話すべきだ。東部・南部にとっては欧州連合(EU)でなく、ロシアの経済ブロックに入ることに利益がある」と述べた。
年金生活の男性、ノビコフさん(80)は、「ロシア語を守るため」と投票にやってきた理由を語った。親欧米派が政変後に一時、ロシア語の公的使用を制限する動きを見せたことに怒り心頭だ。
ただ、賛成票を投じた人も、州の「独立」後にロシア編入を求めるかについては意見が割れていた。
占拠の続く州政府庁舎などと違い、市内の投票所で武器を携行した者は見られなかった。投票の管理業務に当たる女性ボランティアは「多くの住民に投票所を周知されていなかったことを考えれば、よい投票率ではないか」と話した。選挙人名簿は2012年のものを使い、名簿非掲載の住民にも投票は認められていた。投票用紙は通常のコピー機で作成された白黒の紙片で、偽造を防ぐ仕組みもなかった。
独立に反対する人々は、そもそも投票に参加しなかったとの見方が強い。投票所の前を素通りした男性技師、アプフチンさん(35)は「この住民投票を私は認めない。キエフの暫定政権は議会で多数派の支持を得ており、非合法ではない」と指摘。「私の母語はロシア語だが、祖国は独立ウクライナだ。投票後に危機と戦争がくることを恐れている」と話した。(ドネツク 遠藤良介/SANKEI EXPRESS)