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こだわりなく、おいしいものを レストラン よねむら 祇園本店
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色とりどりのピクルスが並んだ野菜のオードブル。ワラビやコゴミなど春の山菜もたっぷり
「祗園さん」と親しまれる京都・八坂神社のすぐ南。2001年に移転オープンして以来、常に話題を集めてきたのがここ「レストラン よねむら」だ。「和魂洋才(わこんようさい)」と評されることも多いが、和洋にとらわれない自由さが魅力。オーナーシェフ、米村昌泰さんの流れるような“おまかせ”に身を委ね、リラックスして味わうべし。
「料理は素材に限ります。(料理人は)マジシャンではありませんからね」と笑う米村さん。
オーナーシェフにとっては、一日一日が勝負だ。その日の食材を吟味し確保する…そのことを、独立してからずっと真摯に心掛けてきた。その上に個性と独創性が加わって、「よねむら」のおもてなしが始まる。
まずは、最初の「野菜のオードブル」から。タラの芽、コゴミ、ワラビ、アスパラ…と、彩り豊かなピクルス仕立ての春の野菜がうれしい。初夏へと移るこの時期は、春の名残をおしみつつ、京都ならではの季節感を味わう。
2品目は、美しい白い器に映える琥珀色のコンソメスープを。何げないけれど、実はファンが多いのがこのコンソメで、もちろん記者もその一人である。エビのソテーと自家製ベーコンが添えられて、異なる「うまみ」を堪能できる。
さて、次に続く魚介料理のあれこれだが、これぞ、「よねむら」らしさが満載である。
涼しげなガラスの器に入った「魚介のサラダ」は、新鮮なタコとタイに濃い緑色のソースがかかった美しい一品。聞くと、なんとワサビの葉のソースだそうだ。さて、これを和ととるか、洋ととるか…。
見た目も楽しい「ハマグリ」は、向かって左がグラタン仕立て、右がおろしポン酢に木の芽を添えて。トロ~リとサッパリ、異なるアレンジで味わう貝の味わいはまた格別だ。「和洋の区別なんてどうでもいいや」と、このあたりですでに考えるのをやめてしまうのである。
実はあの「ミシュランガイド京都・大阪・神戸・奈良」の2013年版では、「イノベーティブ」ジャンルで一つ星を獲得した。訳すと「革新的」となるが、確かになるほどと思う。
米村さんに聞いてみると、「そういう料理でいいかなと思ってるんですよ」とにっこり。
こだわりなく、おいしいものを。それだけなのだ。
続いて出てきたのは、澄ましバターでムニエルにしたヒラメと、ズッキーニのフォアグラのせ。ヒラメにはあぶったエンガワがのり、フォンドボーのソースをからめながら…。う~ん、いろいろな味が楽しめること請け合いの一皿だ。
肉料理は、黒毛和牛のヒレとサーロインのシンプルな炭火焼きを。季節のソラマメを添えて、ワサビか石垣島産のピパーツをつけていただく。
ところで、聞き慣れないピパーツとは…。コショウの“原型”のような香辛料だそうだ。ペッパーの語源になったとも言われ、独特の香りと、コショウよりもさらに強い刺激がある。これからの季節、シンプルに肉を味わうにはぴったりだろう。
よねむらで何より楽しみなのが、独創性豊かなパスタである。この日は、「ホタルイカとウニのパスタ」。パスタは細いカッペリーニで、並んだ3種のソース、すなわちフルーツ(オレンジ、グレープフルーツなど)・ウニのパウダー・小松菜のソースをお好みで。凝っているようでシンプル、シンプルなようで複雑…それがよねむらの楽しさでもある。
よねむらのメニューは、ランチもディナーもおまかせのみ。手が込んでいるのにあまりそれを感じさせず、おおげさに主張するわけでもない。どかんと「これがメーンです!」と主張することもなく、全体が、あえて言うなら“川の流れのような”コース料理なのである。
独立して約20年、祗園さんの近くで約13年。東京では銀座店のほか、今年2月には、口コミで人気が高かったクッキーの専門店を日本橋にオープンした。年内には香港進出も控えているという。
和洋にとらわれない、よねむら流のうまいもの。「また来よう」と思わせる店である。(文:山上直子/撮影:恵守乾(えもり・かん)/SANKEI EXPRESS)