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しっかり食べる ゆったりくつろぐ カフェ バスティーユ
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「特製フレンチトースト」(690円)。バゲットのカリッとした食感とメープルシロップの甘味の相性が抜群で、上に乗ったアイスクリームともよく合う
京都の街の真ん中あたりに位置する烏丸御池は、古い京町家とレトロな洋風建築がうまく調和したおしゃれなエリアだ。中でも、黒を基調にした外観の「カフェ バスティーユ」は、本場パリのカフェがそのまま現れたような趣。「しっかり食事がしたい」「ほっこりティータイムをくつろぎたい」「お酒と軽い食事に」とさまざまなニーズに応えてくれ、使い勝手のいいカフェとしてリピーターが多い。
ウッド調の落ち着いた店内は、京都らしい大人の雰囲気。「どのメニューもおすすめ!」と知人に聞いていたので、まずは「特製フレンチトースト」をいただくことにした。
フレンチトーストといえば、日本では食パンが一般的だが、ここではバゲット(フランスパン)を使っている。では一口。外側はカリッと香ばしく、かみしめるとジュワ~。その食感がたまらない。熱々トーストと添えられたバニラアイスクリームの相性も抜群で、香り高いメープルシロップの甘さも最高。このジャリっとした食感は砂糖?
「店や家庭によってフレンチトーストの味はさまざまですが、私にとってはこの砂糖のジャリジャリとした食感としっかりした甘さがこだわりなんです」とオーナーシェフの山本知(さとる)さん(38)が説明する。フランスでは、家庭で余ったパンをプリンの液(卵と牛乳)につけて焼くことから「パンペルデュ(忘れられたパン)」と呼ばれているそうだ。
さて、次は「ビストロプレート」。お酒のお供にぴったりの人気メニューだ。「ビストロの定番料理を1プレートにそろえました」と山本さん。まずは、これを食べなければビストロに来た意味がないといわれるほどの伝統料理「ウフ・マヨネーズ」を。定番だからこそ店の個性が出るといわれている。
ナイフを入れると、トロ~と黄身が流れ出る絶妙の火の通し具合。酸味をきかせた自家製マヨネーズを絡めて食べると、味付けされた卵のほどよいしょっぱさとマヨネーズのまろやかさが口に広がる。「これ、何個でも食べられます!」と興奮してしまった。続いてスパイスの効いたお肉のパテ。どっしりした食べ応えがある。にんじんの千切りサラダ「キャロット・ラペ」はすっきりした酸味で口の中がリセットされ、しっかりした味の料理と交互にどんどん食が進む。
「牛ミンチとポテトフライのバゲットサンド」は持ち帰り可能なのもうれしい。「若鶏のクスクス」は鶏肉と野菜がたっぷりの、これも定番人気メニュー。菜の花の苦さがアクセントになっている「エビと菜の花のニョッキ・トマトソース」も食べ応えがあって満足満腹。これほど食事メニューが充実しているカフェも珍しい。
「お客さまの事情に合わせていろんな使い方ができるカフェにしたかったんです」。山本さんは、京の老舗ビストロなどで修業した後、渡欧。フランス、イタリア、スイスで修業を積み、帰国後、烏丸に「オステリア バスティーユ」をオープンした。店名の通り“イタリアンとフレンチのいいとこ取り”のレストランで、瞬く間に人気店に。そして5年前、「ずっとカフェを出したいと思っていた」という念願をかなえ、この店を開いた。
「がっつり食事したい人と軽くお酒を飲みたい人が一緒に来ても大丈夫。いつでも気軽に使える『結局ここに来たな』という存在でありたいですね」。物静かな雰囲気の山本さんだが、実はエネルギッシュで行動力抜群。まだまだやりたいことはあると目を輝かせる。(文:杉山みどり/撮影:恵守乾(えもり・かん)/SANKEI EXPRESS)