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韓国旅客船沈没1カ月 殺人罪などで船長ら起訴

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韓国旅客船沈没1カ月 殺人罪などで船長ら起訴

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【韓国旅客船沈没】「セウォル号」不明者の捜索状況=2014年4月20日午後4時現在(※聯合ニュースによる)。2014年4月16日午前9時ごろ、韓国の旅客船「セウォル」号(乗客乗員計475人に訂正、6825トン)が珍島付近を航行中に遭難信号を発信した。  死者、行方不明者304人を出した韓国の旅客船「セウォル号」の沈没事故で、韓国の光州地検木浦(モクポ)支部は5月15日、遺棄致死容疑などで逮捕していたイ・ジュンソク船長(68)ら運航乗務員4人を、乗客を残して逃げ死なせた行為について殺人罪などで起訴した。

 韓国水難史上最悪レベルの事故は16日で発生から1カ月。合同捜査本部は過積載運航をさせた船舶運航会社の幹部や同社のオーナー一家などにも追及対象を広げ、全容解明を進める。

 殺人罪で起訴されたのは船長のほか1等航海士(42)と2等航海士(46)、機関長(53)。事故当時、操船していた3等航海士の女(25)ら船員2人を最高刑が無期懲役の特定犯罪加重処罰法違反罪などで起訴、ほかの船員9人については遺棄致死傷や水難救護法違反の罪を適用した。

 検察は、船長らが乗客らに船内で待機するよう指示して脱出できない状況にしたうえで船から逃げたことを「未必の故意」による殺人と認定した。

 起訴状によると、船長らは船体の異変発生直後、既に沈没は不可避と判断。救護措置をとらず、避難命令も出さずに自分たちだけが逃げれば船内に閉じ込められた乗客が溺死することを十分に認識していたが「どうしようもない」との暗黙の了解の下、共謀して避難した、としている。

 捜査関係者によると転覆当時、現場海域を担当する珍島海上交通管制センターは操舵(そうだ)室に対し「まもなく救難船が到着する」と伝え、乗客を脱出させるよう指示したが、船長らは船内放送をしなかった。この理由について捜査当局は、自分たちが乗る救難船のスペースを確保するためだったとみている。

 捜査幹部によると乗客らを船内に放置して逃げたことについて、船長らは「自分が生き残ることしか考えなかった」と供述している。(木浦=韓国南西部 加藤達也/SANKEI EXPRESS

 ≪「愛してる。妹よ、修学旅行には行くな」≫

 セウォル号が沈没する直前、修学旅行で乗り合わせた檀園高校2年4組のキム・ドンヒョク君=死亡=は、級友のパク・スヒョン君=死亡=が撮影した携帯電話の映像の中で「母さん、父さん、愛してる。妹よ、修学旅行には行くな」と言い残した。

 これからも母として

 高校の地元、ソウル郊外の安山で多くの市民が子供たちを悼んだ(5月)10日夜、母は市民の前に立ち息子への手紙を読んだ。「生涯あなたの母として生きていく。私もあなたを愛してる」

 キム君は、溶接工の父と中学3年の妹の3人で長く暮らしてきた。母は父の再婚相手で、2年前に一つの家族になった。それまで妹の面倒をよく見て友達の少なかったキム君は、新しい母ができて明るくなり、高校で友達も増えた。その友達もみな命を落としたという。

 「全員が助かったとの知らせに、あなたの着替えを心配して現場へ行った。でも、三日三晩あなたを待つ中で、生存への希望よりも、早くあなたを見つけ出さねばとの一念になった。きれいな体で私たちの元に帰ってきてくれて本当にありがとう」

 息子の思い「守る」

 安山には中小零細工場が集まっており、生徒の多くは両親が共働きで工場へ通う家庭の子だった。「国民の安全のために税金を払って黙々と生きてきた、あなたや友達の母さんや父さんは、あなたたちの犠牲が決して無駄にならないよう願っている」。そう呼び掛けた母は、息子が最後まで気にかけた妹を必ず守ると約束して手紙の朗読を終えた後、「ドンヒョク、愛してる」と絶叫し泣き崩れた。(共同/SANKEI EXPRESS

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