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初夏の皮膚トラブルと汗腺 大和田潔

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの科学

初夏の皮膚トラブルと汗腺 大和田潔

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 【青信号で今週も】

 春先から初夏にかけてのお肌のトラブルについてのテレビ取材を受けました。涼しい間に汗腺が休んでいるため、汗腺はふさがりがちの状況になっています。その中で、環境の変化の多い4、5月は、ストレスから皮脂の分泌が多くなります。体温調節のためのサラッとした汗ではなく、緊張したときのジワッとした精神性発汗を伴う機会が増えます。さらに、花粉や黄砂といったアレルギー反応も状況を悪化させます。

 私たちの毛穴には、汗を作るアポクリン汗腺と脂肪を分泌する皮脂腺が開口しています。毛のない部分にもエクリン汗腺が分布していて、汗を分泌しています。体温調節とともに、毛に脂質を絡ませて外界のものから体を守る巧妙な配置です。かつて人間も体毛がおおわれていた時代では、分泌された脂質によって、雨などの水分や汚れが毛に付着するのを防いでいたことでしょう。

 私たちの皮膚にはさまざまな常在細菌とよばれる細菌がバランスをとって住んでいて、悪玉菌が増えないように皮膚を守ってくれています。ニキビの原因になるアクネ菌(プロピオニイバクテリウム・アクネス、アクネ桿菌(かんきん))も常在菌の一つです。アクネ菌は酸素のないところで増えやすい性質を持ちます。分泌された脂質が酸化してできた角栓などで毛穴がふさがると、内部に分泌物が充満していきます。脂質を栄養にするアクネ菌は、酸素の少ない毛穴の内部で増殖し、炎症が起きてきます。これが、いわゆるニキビです。角栓が詰まった状態は黒く見え、炎症が起きると赤く腫れてきて、膿(うみ)を持つと白い頭ができてきます。

 毛穴を開いて、皮脂の分泌をスムーズに保つことが基本的なメンテナンスです。体温調節のサラッとした汗をかくには、体温を上昇させるのが近道です。半身浴も効果があるといわれています。15分ほど腰までぬるめのお湯につかるだけで、発汗を促すことができます。少し熱めのお湯に、下腿を浸す足湯も効果があるといわれています。でも、運動が一番。筋トレやスポーツ、軽い有酸素運動の後に、ひと風呂浴びると爽快です。五月晴れの季節。自分に合った方法で、汗腺を清潔に保つようにしましょう。(秋葉原駅クリニック院長 大和田潔/SANKEI EXPRESS

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