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【韓国旅客船沈没】大統領が海洋警察の解体表明 不明者家族反発 「涙の謝罪」空振り

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【韓国旅客船沈没】大統領が海洋警察の解体表明 不明者家族反発 「涙の謝罪」空振り

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【韓国旅客船沈没】「セウォル号」不明者の捜索状況=2014年4月20日午後4時現在(※聯合ニュースによる)。2014年4月16日午前9時ごろ、韓国の旅客船「セウォル」号(乗客乗員計475人に訂正、6825トン)が珍島付近を航行中に遭難信号を発信した。  韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は5月19日、300人以上の死者・行方不明者を出した旅客船セウォル号沈没事故に関する国民向け談話を読み上げ、韓国海洋警察庁の救助活動が事実上失敗したと指摘し、海洋警察庁を解体すると表明した。

 朴氏は「国民の受けた苦痛に心からおわびする」と述べ、頭を下げて謝罪した。今回の事故に「まともに対処できなかった」と政府の不手際を認め、その最終責任が「大統領である私にある」と明言。読み上げの後半で乗客を救助しようとして亡くなった一部乗務員の名を読んで涙を流した。

 朴政権への中間評価とされる6月4日投開票の統一地方選を前に、事故対応をめぐる政権批判が強まっていた。朴氏は改革への努力を強調することで局面転換を図りたい考えだ。

 しかし、残る行方不明者の捜索を主導している海洋警察の解体を発表しながら、不明者の存在に言及しなかったことに家族からは強い反発が出ている。

 海洋警察の業務のうち、捜査や情報収集は警察庁に移管し、救助や救難は新設方針の「国家安全所」に移すとしている。

 談話では「仲間同士のなれ合いと民官癒着という正常でない慣行がどれほど大きな災難をもたらすか、今回の事故は見せつけた」と運航管理体制の問題点を指摘。癒着は社会全般に広がっているとして、公務員の天下り規制強化などに取り組むと表明、事故が起きた4月16日を「安全の日」にするとも明らかにした。

 朴氏は民間と与野党による事故の調査委員会の設置を提案し、必要なら特別法に基づく特別検察官による捜査も行うと表明。乗客を見捨てて逃げた船長らの行動を「事実上の殺人行為」と呼び、運航会社やそのオーナー一家が「貪欲に利益を求めた揚げ句に今回の事故を招いた」と非難した。

 海洋警察などは19日午後、1遺体を収容。事故の死者は287人、行方不明者は17人となった。

 ≪不明者家族反発 「涙の謝罪」空振り≫

 朴大統領が、韓国海洋警察庁の解体という「サプライズ」を発表したのは、“責任者”の処罰で政府批判の沈静化を狙ったものだ。だが、残る行方不明者が見つかる前に、捜索に当たる海洋警察の解体を打ち出したことに不明者の家族は猛反発。外遊出発直前のぎりぎりの発表で朴氏は涙まで流したが、効果は不透明だ。

 捜索の士気低下

 「大統領がいう国民には、行方不明者の家族は入っていないのか」

 朴氏の談話発表から約3時間後。事故現場に近い韓国南西部、珍島で、海洋警察庁の金錫均長官に不明者の家族とみられる女性が詰め寄った。

 朴氏は談話で自身の責任を認め再発防止への改革策を並べたが、行方不明者が残っていることには一言も触れなかった。家族は、早すぎる解体発表が捜索に関わる海洋警察職員の士気に与える影響を憂慮。「最後の一人を見つけるまで全力を尽くす」と答えた金氏も、海洋警察職員に「変化」があるかもしれないと口にするなど組織の動揺は隠せない。

 癒着問題後回し

 事故対応で海洋警察は、警備艇で現場に着いた職員が沈没前の船内に入って乗客に脱出を呼び掛けなかったとして非難を浴びている。朴氏は「犠牲者は大きく減らせたかもしれない」と指摘し、救助活動が失敗したと断じた。

 だが海洋警察は不法操業の取り締まりや海洋汚染防止などが主な任務で「転覆船からの救助など、日本の海上保安庁が持つ高度な技術はそもそもない」(政府関係者)。

 事故はセウォル号の運航会社が恒常的に過積載運航を繰り返していたのを、海運業界と癒着した当局が見逃していたことが根底にある。しかし、朴氏は癒着問題の言及を、海洋警察と安全行政省、海洋水産省の事故対応への叱責の後に回した。癒着根絶を先送りにし、大統領権限を使えばたやすい組織改編を優先する姿勢だ。

 原発営業の外遊直前

 朴氏は「責任を回避している」との批判を浴びても、謝罪表明を1カ月以上ためらってきた。その朴氏が5月19日朝に談話を発表したのは、韓国が初めて原発を輸出したアラブ首長国連邦(UAE)への外遊出発が19日午後に迫ったためだ。

 2009年に輸出契約を結んだUAEでは、韓国製1号機の設置記念式が20日に行われる。日本などと原発ビジネスを競う韓国にとって、大統領の出席による「営業」は欠かせない。国民に謝罪せずに国を離れれば世論が一層悪化するのは確実で、談話は出発前に出す必要があった。(共同/SANKEI EXPRESS

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