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【遠隔操作ウイルス事件】片山被告「遠隔操作 自分が犯人」

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【遠隔操作ウイルス事件】片山被告「遠隔操作 自分が犯人」

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佐藤博史弁護士の事務所を出る片山祐輔被告(中央)=2014年5月20日午前、東京都港区(栗橋隆悦撮影)  4人が誤認逮捕された遠隔操作ウイルス事件で、無罪を主張していたIT関連会社元社員の片山祐輔被告(32)=威力業務妨害罪などで起訴=が弁護団に「自分が一連の事件の犯人だ」と認めたことが5月20日、分かった。東京地検は20日、東京地裁が保釈取り消しを決定したのを受け、片山被告を東京拘置所に再収監。弁護団は22日の公判で無罪主張を取り下げることを明らかにした。

 主任弁護人の佐藤博史弁護士によると、片山被告は19日午前10時20分ごろから音信不通だったが、19日午後9時半ごろに佐藤弁護士に連絡があり、「全部自分がやりました」と一連の事件への関与を認めた。(5月)16日に「真犯人」を名乗るメールを報道機関などに送ったことも打ち明けた。

 片山被告は、母親が口癖のように「早く平穏な生活が送りたい」と言うのを聞き、「一日も早く裁判を終わらせたい」と考え、自作自演のメールを送ったと説明。19日夜に何度か自殺を図ったといい、「死のうと思ったが死にきれなかった」と語ったという。

 (5月)16日のメールには、過去の犯行声明メールなどに使われたアカウントに最近、ログインしたことが書き込まれていた。片山被告は「アカウントのパスワードは真犯人しか知らない。警察に分かれば、すべての遠隔操作も認めざるを得ないと思った」としている。

 一連の事件の動機については「出来心でやったら、簡単にできてしまった」と話しているという。

 ≪「言い逃れできない」一転全面自供≫

 「自分は平気でウソをつける」。片山祐輔被告の収監を受け、主任弁護人の佐藤博史弁護士は5月20日、記者会見し、所在不明となっていた片山被告とのやり取りを語った。「言い逃れできない」とこれまでの頑強な否認から一転、〝全面自供〟した片山被告。無実を信じて捜査批判を繰り返した佐藤弁護士は「完全にだまされたということになる」と複雑な心境をのぞかせた。

 「死ぬこと考えた」

 「先生、すいません」。片山被告から佐藤弁護士の携帯電話に連絡があったのは19日午後9時半ごろ。片山被告が荒川河川敷にスマートフォン(高機能携帯電話)を埋めたとされる報道を見て、「本当のことだったので死ぬことを考えた」と動転した様子で語った。

 片山被告は19日午前10時20分すぎに連絡を断った後、東京都西部の高尾山を放浪してベルトで首をつろうとしたが失敗。下山して駅のホーム下に入り込み電車に飛び出そうとしたが、ためらったため果たせず、佐藤弁護士を頼って電話をかけたという。

 「もしかしたら会えないかもしれない」と気弱に話した片山被告だったがその後、新宿のホテルに宿泊。翌20日午前6時15分頃、「先生に会いたい」と電話をかけ、午前7時すぎに直接面会した。佐藤弁護士は「酒を飲んで酔っており相当衰弱しているようだったが落ち着いていた」と様子を話す。

 「自分は平気でウソつける」と自嘲気味に語った片山被告。佐藤弁護士は真実の告白に衝撃を受けつつ、「済んだことは仕方ないが死ぬことは考えるな」と応じるしかなかった。

 2度目のミス

 片山被告を窮地に追い込んだ真犯人を名乗るメール。2012年10月の犯行声明メールで「世間を騒がすことが目的」などと書かれていたことから、警視庁は片山被告が愉快犯的な動機を持っていると判断。3月の保釈以降、ひそかに行動確認を続けていた。

 片山被告は(5月)15日夕、江東区内の自宅を出て、徒歩で約5キロ離れた荒川河川敷に向かい、突然、穴を掘るしぐさをした。真犯人のメールが(5月)16日午前に届いた後、警視庁が土を掘り返すと、メールの全文が保存されたスマホが出てきた。

 片山被告は2~3回、河川敷の下見をしていたといい、身分確認が不要なプリペイド(料金前払い)式スマホを秋葉原で購入していたことも分かった。

 片山被告の「現実空間」でのミスは、神奈川・江の島で猫と戯れる様子が防犯カメラに捉えられたのに続き、2度目。捜査関係者は「必ず何かをやると思っていた。警戒を怠らなかった結果だ」と強調する。

 弁護士は捜査称賛

 「こんな形で終わったのは驚きだが、天は見ていたということだ」と20日の会見で唇をかんだ佐藤弁護士。栃木県足利市で女児が誘拐後に殺害された足利事件で再審無罪判決を勝ち取ったことで知られ、片山被告が逮捕された4日後に主任弁護士に就任した。

 繰り返し開いた記者会見では「片山被告にはどこから切っても犯人らしさがない」「警察、検察に有利な状況はない」などと舌鋒(ぜっぽう)鋭く捜査批判を続けた。

 だが、その勢いは20日の会見では影を潜め、スマホを掘り返した捜査員の判断を「素晴らしい勘だ」と称賛。「『やっていない』という人を信じるのが職業倫理だが、完全にだまされたということにはなる」と肩を落とした。

 ただ「真犯人メールがなかったら、かなり自信を持って弁護していた。(真犯人と)早い段階で明らかになってよかった」とも話し、複雑な心境を吐露する場面も見られた。(SANKEI EXPRESS

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