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【世界自転車レース紀行】(16)日本 ヤマは中盤の山岳ステージ

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【世界自転車レース紀行】(16)日本 ヤマは中盤の山岳ステージ

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雨の中開催された南信州ステージ。選手たちはJR飯田駅前をスタートし、山間部の周回コースへと向かった=2014年5月21日、長野県飯田市(田中苑子さん撮影)  5月18日から25日まで、堺(大阪)から美濃、南信州、富士山、伊豆、そして東京と本州を横断するようにして全6ステージを駆け抜ける国内最大のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン2014」が開催された。各種公益法人などの関係団体で構成する「自転車月間推進協議会」が定める「自転車月間」の5月に毎年開催されている大会で、今年で第17回目を迎える。日本の新緑をイメージしたグリーンのリーダージャージーをめぐって、14カ国から集まった94人の選手たちが熱戦を繰り広げた。

 日本からは、国内外で活躍する9チームが参戦し、日本人選手の最高位は増田成幸(なりゆき、宇都宮ブリッツェン)の総合成績(各ステージの成績を合計したタイムで競われる成績)10位だった。2004年に福島晋一(当時ブリヂストンアンカー所属)が総合優勝を果たしてから、日本人選手の総合優勝はない。昨年(2013年)からレースカテゴリーが上がり、より強い海外チームの参戦が可能となったため、レースの難易度が上がっている背景もあるが、今年はいずれのステージでも日本人選手の勝利はなく、海外勢に押される結果となった。

 ≪半数が時間切れ イラン選手の強さ際立つ≫

 総合成績を決めるうえで重要なステージとなるのは、中盤に開催される南信州、富士山、伊豆の3つの山岳ステージ。今年はイランから参戦したミルサマ・ポルセイェディゴラコール(タブリーズ・ペトロケミカル)が、南信州ステージでは苦手な雨に苦戦を強いられ、ライバルからタイム差を奪われた。しかし、最大勾配22%、富士山の須走口まで一気に駆け上がる「ふじあざみライン」での富士山ステージでは、ずば抜けた登坂力を武器にステージ優勝。

 翌日の伊豆ステージは伊豆市の日本サイクルスポーツセンター内の周回コースを使って開催されたが、獲得標高合計4000メートルを超える厳しい登坂コースで、チームメートの元アジアチャンピオン、ガデール・ミズバニとともに先行し、ライバルを引き離してゴール。ここで総合優勝を決定付けた。

 イランは、自転車ロードレース競技において、アジア最強を誇る国。今回優勝したポルセイェディゴラコールは、この1年間でアジアの名だたるレースを総なめしているが、彼らの長所は圧倒的な登坂力にある。話を聞くと「イランは標高が高く、自分たちはいつも3000メートル級の山でトレーニングを積んでいる」と言う。マラソンのように、持久力が求められる自転車競技において、高地トレーニングは有効とされ、そのトレーニング環境の良さが強さの秘訣(ひけつ)だと説明する。

 彼らの驚異的とも言える強さにより、伊豆ステージでは約半数の選手がタイムアウトとなり、最終日の東京、日比谷公園でのスタートラインに立てたのはわずか41人の選手のみだった。自転車競技連盟の会長や2020年東京五輪組織委員会理事を務める参議院議員の橋本聖子氏らが会場に駆けつけたが、華やかな大会フィナーレと呼ぶには、いささか寂しい印象が否めない。しかし、その状況がよりイラン人選手の強さを引き立てた。(写真・文:フリーランスカメラマン 田中苑子/SANKEI EXPRESS

 ■たなか・そのこ 1981年、千葉生まれ。2005年に看護師から自転車専門誌の編集部に転職。08年よりフリーランスカメラマンに転向し、現在はアジアの草レースからツール・ド・フランスまで、世界各国の色鮮やかな自転車レースを追っかけ中。

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