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ぶっ飛んだ世界でもすんなり感情移入 舞台「鎌塚氏、振り下ろす」 ともさかりえさんインタビュー

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ぶっ飛んだ世界でもすんなり感情移入 舞台「鎌塚氏、振り下ろす」 ともさかりえさんインタビュー

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「絵本のような物語なのに、倉持(裕)さんはちゃんとリアリティを持たせていてすごい。キャラクターに寄り添って見られる」と語る、女優のともさかりえさん=2014年6月11日、東京都内(寺河内美奈撮影)  お屋敷を奔走する執事を主役にしたコメディーシリーズの第3弾「鎌塚氏、振り下ろす」(作・演出、倉持裕(ゆたか))が7月4日から本多劇場(東京)で上演される。第1弾「鎌塚氏、放り投げる」(2011年)で女中界のアイドルを演じ、コメディエンヌぶりを発揮したともさかりえ(34)が、同じ役でシリーズにカムバックする。

 震災直後(2011年5月)の上演となった第1弾は、余震で稽古場が揺れ、前半は客入りもまばら。不安が漂う中での上演だったが、「千秋楽にはスタンディングオベーションを浴びて。見た方も笑顔になり、やっているほうも元気になれる。不思議な力のある作品だと実感しました」という。

 稽古で息切れ、充実

 その不思議な力の秘訣は、漫画的なのに人間らしさや親近感が漂うキャラクターにあるのだろう。第1弾では、鎌塚氏(三宅弘城(ひろき))と、ともさか演じる女中頭・上見ケシキに恋が芽生えた。が、鎌塚氏は今回も相変わらずの仕事人間で女心に鈍感。かつてはアイドルともてはやされたケシキだって「結婚適齢期を迎えて、若手女中に押され気味。胸の内では焦っている」(ともさか)という状況だ。

 「貴族が出てくるぶっ飛んだ世界、なんですが、人物にすんなり感情移入できるんですよね。いろんなものに縛られた女中や執事が、制約から次第にはみ出していく姿が面白おかしくて」

 そんな2人が仕える公爵(北村有起哉(ゆきや))は引きこもり。その権力を奪おうと成金貴族(片桐仁(じん))も屋敷にやってくる。鎌塚氏の父(ベンガル)も登場し、父子関係の葛藤も加わり…これでもかというドラマの詰め放題。稽古開始から8日後のインタビューだったが「第1弾にも増して、ますます物語の展開はスピーディー。まだ稽古が始まったばかりなのにみんなでもう疲れたよねと、すでに息切れ状態」。共演陣は手練ればかり。息切れは充実の証しなのだろう。

 経験値増え緊張感も

 かくいうともさかも女優キャリアは20年以上。放送中のNHK連続テレビ小説「花子とアン」でも教師、富山タキ役を威厳たっぷりに演じている。だが一方、キャリアを重ねるにつれ、演技に向き合う心境は思わぬ変化を見せているという。

 「演(や)れて当然、という前提で役をいただく立場になってから、演技に対する緊張感は逆に高まりましたね。経験値が増えた分、今の自分の力でそこまでできるのか、ある程度の想像ができてしまうところがあって。ただお芝居が楽しかった昔の頃と違い、今はいろんな面倒くさいものも引き連れている気がします」。職責を自覚した言葉に、ベテラン女中の域にさしかかったケシキの面影が重なる。

 一方、ともさかには小学生の息子がいて、稽古中も毎朝お弁当作りは欠かさない。「家では、息子の宿題を見て、夕飯を食べさせて、お風呂に入れて…やるべきことだらけ。もちろん面倒くさいな、と思うこともあるけれど、仕事を忘れて気持ちを切り替えざるを得ないこの状況は、仕事に煮詰まる体質の私には、かえっていいのかもしれません」。細身からは想像がつかない強さが、みなぎっている。(文:津川綾子/撮影:寺河内美奈/SANKEI EXPRESS

 ■ともさか・りえ 1979年10月12日生まれ、東京都出身。92年にトヨタ自動車のCMでデビュー。ドラマはNHK「コラ!なんばしょっと」(92年)でデビュー後、「金田一少年の事件簿」(95年)のヒロイン役でブレーク。主なドラマ出演作に「すいか」(2003年)「篤姫」(08年)。映画は「100回泣くこと」(13年)など。初舞台は「ガリレオ物語」(1992年)。夫はミュージシャンのスネオヘアー(43)。

 【ガイド】

 7月4~27日 本多劇場(東京)。森崎事務所(電)03・6427・9486。8月2、3日 サンケイホールブリーゼ(大阪)。劇場チケットセンター(電)06・6341・8888。ほか名古屋、静岡、島根、広島公演あり。

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