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【マレーシア機撃墜】親露派、ブラックボックス引き渡す

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【マレーシア機撃墜】親露派、ブラックボックス引き渡す

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7月22日、ウクライナ東部ハリコフに到着したマレーシア航空機撃墜の犠牲者の遺体を運ぶ列車=2014年(ロイター=共同)  ≪国連安保理、非難決議を採択≫

 国連安全保障理事会は7月21日、298人が死亡したウクライナ東部のマレーシア航空機撃墜を非難し、現地を実効支配する親ロシア派組織に現場保存を要求、関係国に原因調査への協力を求める決議案を全会一致で採択した。理事各国からはロシアに対し親露派組織への影響力行使を求める声が相次いだ。

 犠牲者の遺体を乗せた列車は22日、親露派組織の実効支配地域から東部ハリコフに到着した。遺体は身元確認作業で調整役を務めるオランダに搬送される見通し。今後は真相究明に焦点が移るが、墜落現場は保存されておらず、調査は難航が予想される。

 親露派組織は22日、マレーシア機の飛行データなどを記録したブラックボックスをマレーシア側に引き渡した。証拠隠滅への懸念が高まる中、国際社会の圧力をかわそうと協力姿勢に転じたとみられる。決議は、非常任理事国で少なくとも27人の犠牲者が出たオーストラリアが起草。ロシアと中国を除く全理事国と、犠牲者を出した全ての国が共同提案。安保理は拘束力の強い決議で強力な国際社会の意思を示した。

 オランダのフランス・ティメルマンス外相(53)は、安保理会合に出席し決議を歓迎。オーストラリアのジュリー・ビショップ外相は、決議は「残虐行為に関わった者」を処罰するとの安保理の明確なメッセージだと強調した。

 決議はマレーシア機撃墜を「最も強い表現で非難する」と強調。親露派に機体の残骸を破壊したり遺品を持ち去ったりしないよう要求し、欧州安保協力機構(OSCE)などの国際的な調査活動に制限を加えないことも求めた。

 遺体の収容も「尊厳と敬意」を持って当たるべきだと主張。「完全かつ徹底した独立的国際調査の立ち上げ支援」をうたい、撃墜に関与した者の処罰を要求、関係国に協力を要請している。

 ≪現場の惨状、合意を後押し 真相究明、対立が影≫

 ロシアと、ウクライナや欧米の溝はなお深く、真相解明に影を落としている。

 異例の演説

 「この週末、分離主義者(親露派)が現場を荒らす映像を世界中の人々が見た。『やめろ! そこには(亡くなった)人がいる』と同じ気持ちを抱いた」。7月21日の安保理会合でパワー氏は語気を強めた。これに先立ちホワイトハウスで緊急声明を発表したバラク・オバマ大統領(52)も「親露派は何を隠そうとしているのだ」と不信感をあらわにしていた。

 安保理は今年2月以降、ウクライナ危機をめぐって20回前後の会合を重ねたが、欧米とロシアが非難の応酬を続け、手詰まりが続いていた。

 国民、永住者ら計30人以上を失った非常任理事国オーストラリアが最初の決議案を配布した(7月)19日。事故現場を支配する親露派組織が調査を妨げ、犠牲者の遺品をあさるなどの行為が報じられた。

 特定の事件に限って演説することはめったにないロシアのウラジーミル・プーチン大統領(61)が21日、異例の演説で「悲劇の現場で国際専門家の安全を保証するため、全力を挙げる必要がある」と表明。親露派を後押しするロシアも、調査を推進する姿勢を見せざるを得ない状況と判断したとみられる。

 調査の主導権

 ロシアは安保理決議案交渉で「公平な調査」を主張、対立するウクライナに調査を主導させないことに最後までこだわった。当初案では、調査はウクライナ当局主導で国際民間航空機関(ICAO)が支援するとしていたが、最終的にウクライナとICAOが「調整の上、連携する」との文言に落ち着いた。

 欧米側の妥協はこれにとどまらない。ロシアの拒否権行使を避け、採択を急ぐため、安保理会合で幾度も指摘した親露派に対する「ロシアの軍事支援」への言及も盛り込まなかった。

 採択後の演説でロシアのチュルキン国連大使は、ウクライナ軍が2001年、シアのシベリア航空機をミサイルで誤って撃墜した事故に触れ、ウクライナが「国際調査を主導するのはふざけた話」と牽制(けんせい)した。さらに、親露派とロシアの情報将校の会話としてウクライナが公表した録音について、信憑(しんぴょう)性を真っ向から否定した。

 安保理決議は国際調査にウクライナ政府、ICAOのほか、犠牲者を出した国や航空機の設計、製造、運用に関わった国などの専門家が参加するとしているが、詳しい構成や調査日程は不明だ。

 米情報当局は「ロシアが提供した高性能の地対空ミサイルで、親露派が撃墜したとの見方を強めている」(ウォールストリート・ジャーナル紙)とされ、動かない「証拠」を突きつけることができるかどうかが問われる。(共同/SANKEI EXPRESS

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