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絶妙ミックス 洗練とフェミニン N°21 世界初の旗艦店

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絶妙ミックス 洗練とフェミニン N°21 世界初の旗艦店

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ミリタリーテイストのスカート(9万6000円、税別)のポケットにビーズ装飾で女性らしさをプラス。カーキやイエローは今季のキーカラーだという=2014年1月12日(提供写真)  【Fashion Addict】

 ≪心奪うレースONレース≫

 「N°21」と書いて、「ヌメロ ヴェントゥーノ」と読む。記号のようなブランド名は、イタリアのファッションデザイナー、アレッサンドロ・デラクア(51)のラッキーナンバーである誕生日「21」にちなんだという。官能的な美の表現を得意とし、日本でも人気の高いデラクアがデザインするこのブランドが、今月(8月)1日、世界初の旗艦店を東京・表参道にオープンした。ヌメロ ヴェントゥーノはどのような世界観を持つブランドなのか。それを探ろうと、旗艦店を訪ねた。

 東京・表参道のケヤキ並木から脇道にそれると「N°21」の旗艦店はある。ころんとしたキューブ型、マットな黒と、外観はシックなたたずまい。しかし店内に一歩足を踏み入れると、やや雰囲気は変わり、床にはクラシカルな2色の大理石が張られ、天井で軽やかに波打つポリカーボネート素材とコントラストをなしていた。

 この独創的な店舗デザインは、ミラノの建築家、ハネス・ペール氏が担当。荘厳さと軽快さ、アンティークとモダンといった、対照的なイメージの「ミックス」は、ヌメロ ヴェントゥーノでデラクアが手がけるデザインを象徴するキーワードの一つだという。

 例えば、この秋展開している洋服でも、持ち味の異なるものを巧みにミックスし、新たな女性らしさの表現を試みている。ミリタリーテイストの厚手のスカートにエレガントなビーズ装飾をあしらったり、スポーツテイストのキルティング素材を、フェミニンなシルエットのワンピースにしてみたり。

 「マニッシュな素材やモチーフと、フェミニンな要素との組み合わせ具合が絶妙で、エレガントな着こなしをかなえてくれるのがデラクアのデザインの魅力」と、ヌメロ ヴェントゥーノの広報担当、小室衣梨佳さん(31)は語る。

 ラグジュアリー×日常

 店内のラックにかかる洋服は、フラワー、レース、ファー、フェザー、ラメ…とあしらわれている素材や柄がラグジュアリーな印象。ただどのアイテムもシルエットはシンプル。また色使いもベージュを基調に、カーキ、ブラックなどベーシックなトーンが中心。洗練された大人が好む、女性らしさが感じられる。手持ちの洋服ともコーディネートがしやすく、重ね着のおしゃれが楽しめそうだ。

 「ラグジュアリーだけれどデザインが先鋭的すぎない。日常着としても着こなしやすいですよ」と小室さんは、このブランドの親しみやすさも強調した。

 ヌメロ ヴェントゥーノは2010年3月、ミラノコレクションでデビュー。日本では「グルッポタナカ」(大阪市)が総代理店となり、国内のセレクトショップや百貨店で扱われてきた。ヌメロ ヴェントゥーノのロベルト・オルテロCEO(最高経営責任者)によると、国別売り上げで日本は35%を占め、世界で最もこのブランドのファンが多い国だという。「繊細な表現などが、日本の女性の感性に合うのでは」とオルテロ氏はいう。

 特にディテールにまで行き届いた緻密なレース使いは「レースが好きな日本の女性」(オルテロ氏)に支持されている。

 シューズにも極意

 ニットにハリと光沢のある素材を組み合わせたトップスは、袖口に風合いの異なる2種類のレースが重ねてあしらわれている。またベージュ色のシャツドレスは、首から胸元にかけては綿レース素材で、視線を下へずらすにつれ、オーガンジーにチュールレースを重ねたシースルー素材に変わり、女性らしさが多面的に表現されている。本来ボーイッシュなイメージがあるカーキ色も、総レース素材にすることにより、甘さと辛さが同居した個性的なシャツになった。

 レディースは洋服のほか、シューズも展開。今季流行のつま先のとがったポインテッドトウのヒール靴は、ヒールにスパンコール、アッパー(本体部分)にはレースや織素材、その上にストーンをあしらい、中にはさらにレザーのリボンを重ねるなど、「ミックス」の極意を見せた。どのアイテムも、細部に目を奪われてしまう。ヌメロ ヴェントゥーノのデザインには、女性の胸をときめかせる仕掛けが満ちていた。(文:津川綾子/撮影:宮崎裕士/SANKEI EXPRESS

 ■Alessandro Dell’Acqua 1962年12月21日生まれ、ナポリ出身。82年に「アカデミア・ディ・ベッレ・アルティ」(美術アカデミー)でグラフィックデザインの学位を取得、23歳で「GENNY(ジェニー)」とデザイン契約。96年、自身の名を冠したコレクションをミラノで発表。2010年、「N°21」のレディースをミラノコレクションで発表。14年に「N°21」のメンズも立ち上げた。14~15年秋冬シーズンから「ROCHAS(ロシャス)」のクリエイティブディレクターもつとめる。

 【ガイド】

 ■N°21 東京都渋谷区神宮前4の3の17、(電)03・3746・0021。午前11時~午後8時(不定休)。1階はレディース、2階はメンズを展開

 ※価格はすべて税別です。

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