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【パリの中庭】受け継がれる美意識 丸若裕俊

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【パリの中庭】受け継がれる美意識 丸若裕俊

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丸若が徳島県那賀郡那賀町にて実施したポップアップオフィス期間中にBUAISOU.のスタジオにて染めた藍の服の上下。BUAISOU.のスタジオでは藍染めの持ち込みも受け入れている=2014年8月28日(宮川浩和撮影)  日進月歩の現代において、伝統の本質を継承していくことは非常に困難と言わざるを得ない。しかし、今回ご紹介するBUAISOU.(ブアイソウ)は、伝統の本質を見事に捉えながら明るい未来を感じさせてくれる。

 徳島が育む藍の魅力

 彼らの活動拠点は、徳島県である。実は徳島は、藍の成育にとって必要な条件が満たされた豊かな環境により、全国でも有数の藍産地として栄えてきた。東北生まれの彼らは、徳島にもともと縁があったわけではない。とあるきっかけから藍の魅力にひき込まれ、藍のために徳島に移り住んだのだ。彼らの藍染めの技術は、地域の人々との交流の中から一つ一つ学び育てたのだという。例えば、本当に質の良い藍を手に入れるため、彼らは藍を栽培する土壌を育てる所から始めている。地域の人々から堆肥を譲り受けるなどの協力を得て、全て自分たちの手で行っているのだ。純粋に美しい本来の藍染めの色を追い求めた結果、今のスタイルになったのだと笑顔で語ってくれたが、実際に作業工程を目にすると、かかる労力は想像以上に過酷であることが容易に理解できる。藍染めに心底ほれ込んでやっていなければできる作業ではないだろうと思う。

 そして、彼らが納得感と自信を持って一つ一つの作品を染め上げていることも伝わってくる。一年を通して自然と向き合いながら、どんな細かい作業にも気配りを惜しまず取り組んでいるからこそ、全ての人に胸を張ってお勧めできるBUAISOU.の藍につながっているのであろう。

 新しい伝統の姿

 実際にBUAISOU.の藍は、その深みや上質な色合いが、国内外で非常に高く評価されている。今春、ニューヨークでは現地での藍立てと、その場で染め上げるワークーショップが行われ、訪れた多くの人々を魅了し、感動を与えた。その結果、現地側からの働きかけもあって、ニューヨークにもアトリエを構えることとなったというのだから驚きである。藍と楽しそうに対話をしながら、自ら信じる道を突き進む彼らの真摯(しんし)な姿勢は、BUAISOU.の藍の色に負けない程美しく、清らかである。こうした思いが込められた品々が国内外で高い評価を受けていることは、同年代として誇りに思える。

 伝統を継承することについての考え方や、その方法は人それぞれによって異なるかもしれない。その地に生まれた者や流れをくむ者でなければという考え方も根強い。しかし、そうした概念を抜きにして、私には、東北生まれの現代っ子の彼らは間違いなく、徳島県が誇る藍の伝統継承者に写る。(「丸若屋」代表 丸若裕俊(まるわか・ひろとし)/SANKEI EXPRESS

 ■まるわか・ひろとし 「丸若屋」(maru-waka.com)代表。日仏を拠点に、伝統工芸から最先端工業に至る幅広い分野で最高峰の技術との革新的な取り組みを通し、21世紀を生きる人々の生活に驚きと喜びの提供を行う。パリ・サンジェルマンにて、美しき日本の品々の展示販売を行う“NAKANIWA”をオープン。2016年に創業400年を迎える有田焼の海外プロジェクトも今秋始動。今後はアジアへの展開も予定している。

 ■BUAISOU. 渡邉健太と楮覚郎(かじかくお)2人の藍師・染師からなるユニット。徳島県上板町で藍染め文化の伝承と創造を目的に日々活動している。古き良き日本の藍文化を守りつつ、藍染‘JAPAN BLUE’を新たな機軸で伝えるべくインスタレーションを取り入れた攻めの表現活動も展開している。www.buaisou-i.com

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