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【パリの中庭】美しいものづくりとの出会い 丸若裕俊

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【パリの中庭】美しいものづくりとの出会い 丸若裕俊

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パリにオープンした「NAKANIWA」=2014年5月31日、フランス・首都パリ。(C)Elodie_Laleuf  これまで1年間にわたり『円游庵の「道具」たち』と題し、私、丸若裕俊が仕事や旅を通して出会った日常をより豊かにする道具や、巡り合った人々と彼らが生み出してきた品々をご紹介してまいりました。

 今月(8月)からは装いも新たに『パリの中庭』と題し、丸若屋がパリ・サンジェルマンの地において、今年6月にオープンしたギャラリー「NAKANIWA」を中心に、毎回お話をさせていただきます。

 作り手が時代と向き合い、創意工夫を重ね、長い時間をかけて磨き上げてきた品には、清らかで洗練された美しさと本物の品質が備わり、その価値は、国境や時代を越えて、今を生きる人々の生活を本質から豊かにすることができます。

 美しさは言葉を介さずとも伝わりますが、品の本当の魅力は、使い続ける中で初めて気付くもの。日常の中に取り入れ深く触れていただくために、私たちは、「NAKANIWA」を通してフランスへ、世界へ、21世紀という時代の空気をまとった品を選び抜いてご提案していきます。

 伝わる本当の魅力

 「NAKANIWA」が位置するサンジェルマン地区は、古くから知的・文化活動の中心地であり、多くの哲学者や芸術家が連日カフェやナイトクラブに集い、文化の発信地として栄えてきました。いまなおハイカルチャー層が集い、文化的素養が醸成されているこの場所こそ、日本の美しい伝統のものづくりと、パリの人々の生活が出合う場に適しているのではと思ってきました。

 そしてその思いは6月のオープン前、数回にわたって行ったプレオープンイベントを通して確信に変わりました。展示販売と合わせて行ったヴェルニサージュやセミナー、ワークショップを通して現地の人とのコミュニケーションの最大化、カスタマーリレーションの構築まで一貫して行い、現地の人々の熱心な商品理解の姿勢、新しい文化を受容し、一緒に作りあげていく心持ちに触れました。

 現地の人々から受けるこうした刺激は、私たちはもちろん、日本の作り手たちのものづくりに必ず反映され、あるべき姿への伝統の更新を可能にしてくれるはずです。

 未来へつなぐ

 「NAKANIWA」は、6月に無事オープンを迎えることができ、ヴェルニサージュもたくさんの方々にお越しいただきました。改めまして感謝申し上げます。

 今後は継続的に「NAKANIWA」を中心とした、パリでのプロジェクトに意欲的に取り組んでいき、新たな伝統をパリの人々とともに育んでいきたいと考えています。

 異国の地で文化を根付かせるのはとても難しいことですが、この「NAKANIWA」が、未来につながる日本の美しい伝統のものづくりとの出会いの場となることを願っています。

 ≪フランスの人々の生活へ≫

 丸若屋では「NAKANIWA」のあるパリ・サンジェルマン地区を起点としたネットワークを用いて綿密な市場調査を行い、現地の人々がどのような物を好み、何を基準に物の価値を判断するのかを分析いたします。

 そして、リサーチを重ねて得た情報を基に、フランスの生活文化に溶け込み、現地で愛される商品をセレクトし提案させていただきます。

 また、お客さまに深い理解をもって商品に接していただけるよう、現地のマネジャーが、日本文化や美意識とともに、商品を生み出した技術の魅力や歴史的背景なども併せご案内いたします。こうしたサポート体制を整えることで、直接的なユーザーの反応や実際に使用した後の評価など、限られた期間で行う展示受注会などでは得られないような情報をリサーチ結果に反映することが可能となり、更なる信頼性の高い物販につなげることができるのです。

 このように蓄積されたデータやノウハウにより、将来の展開を見据えた精度の高い商品開発、および一過性のもので終わることのない戦略を共に構築させていただきます。日本の文化が育んだ美しいものづくりを、現地の人々の生活に本当の意味で浸透させ、日本とパリの「中庭」となるべく、パートナーとともにさまざまなプロジェクトを行い、こちらの連載で毎月みなさまにお伝えしていきます。(「丸若屋」代表 丸若裕俊(まるわか・ひろとし)/SANKEI EXPRESS

 ■まるわか・ひろとし 「丸若屋」(maru-waka.com)代表。日本とフランスを拠点に、伝統工芸から最先端工業に至る幅広い分野で最高峰の技術との革新的な取り組みを通し、21世紀を生きる人々の生活に驚きと喜びの提供を行う。パリ・サンジェルマンにて、美しき日本の品々の展示販売を行う“NAKANIWA”をオープン。2016年に創業400年を迎える有田焼の海外プロジェクトも今秋始動。

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